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文献詳細

雑誌文献

臨床外科31巻2号

1976年02月発行

文献概要

特集 手術と肝障害

肝炎・肝硬変を伴う場合の手術適応の決定

著者: 井口潔1 小林迪夫1

所属機関: 1九州大学医学部第2外科

ページ範囲:P.157 - P.164

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はじめに
 肝障害の存在は手術侵襲ならびにそれよりの回復過程において,全身的要因としてもつとも重視すべきものである.とくに,術前肝障害の明らかな患者では,術後創治癒の遷延,種々の術後合併症の併発をみることはもちろん,最悪の場合は肝不全に陥り,死の転帰をとることも稀ではなく,肝障害例に対する手術適応決定には,とくに慎重な配慮が必要である.
 しかし,肝臓はその機能が複雑多岐にわたり,肝障害の病像も疾患によりかなり相違し,さらに,肝臓の代償機能の大きいこともあつて,術前,患者の肝障害の程度を質的,量的に正確に把握し,その手術侵襲に対する予備力を推定することは,はなはだ困難なことといわざるをえない.他方,手術侵襲についても,肝門脈系に直接侵襲を加える場合と,その他の手術では,肝臓に与える影響も全く異なり,同一目的の手術であつても,術式の相違や,麻酔法,手術時間,出血量などの手術経過によつて,当然,肝臓への影響は異なつてくるものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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