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文献詳細

雑誌文献

臨床外科31巻2号

1976年02月発行

特集 手術と肝障害

麻酔と肝障害

著者: 川田克也1 諏訪邦夫1

所属機関: 1東京大学医学部麻酔学教室

ページ範囲:P.180 - P.185

文献概要

はじめに
 麻酔のほとんどは,1人1人異なつた生理学的特徴を具えた患者に,さまざまな手術が行なわれることを前提としてかけられるものである.そのため,患者の術前の栄養状態,麻酔剤,術中の低酸素症,炭酸ガス蓄積,低血圧,手術部位,手術手技,輸血,術前から存在する肝疾患や他の疾患,麻酔剤以外の薬剤の使用等,多数の因子が術中術後の肝機能に影響をもたらし,麻酔自体が肝臓に及ぼす影響を明らかにするのははなはだ困難となり,注目されているハロセンの肝障害に関してもまだ結論はえられていない現状である.また術前に肝障害のある患者に麻酔をかける機会は非常に多いが,その場合,どの麻酔剤,麻酔法を選択すべきかという問題も解決されていない.
 しかし,術後肝不全に陥つた患者の予後ははなはだ悪く,腎不全の際の人工透析に相当する治療法もない現在,麻酔医として肝不全の予防に努めることはきわめて重要であろう.以下,麻酔の肝機能に及ぼす影響,ハロセンと肝障害,肝障害時の麻酔について述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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