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文献詳細

雑誌文献

臨床外科31巻2号

1976年02月発行

講座

ハリ麻酔—①その歴史と作用の特長

著者: 許瑞光1

所属機関: 1昭和大学耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.201 - P.205

文献概要

はじめに
 ハリによる疾病の治療は約3000年前にさかのぼれるといわれており,ハリは中国では古来疾病の治療や"いたみ"に対する和痛の1つの方法として利用されてきた.そしてこの1つの集大成ともいえる.内経,素問,霊枢が成書として2,000年前に出版されており,今日なお治療指針として利用することができる.ハリ治療はかようにして中国で始まり,おくれて日本へ伝わり(少なくとも1,500年以上の伝統がある)西洋医学が流入するまで漢方と共に治療の主体となつていた.また遣唐使が帰朝のさいにもたらしたものの中に,ハリに関する本および医療器具としてのハリがあつたともいわれている.このように医療に応用されてきたハリは,今日でも西洋医学に見離された患者の治療に利用されている.そしてこの治療の対象になつたものの中には,慢性の不定愁訴をもつた疾患,例えば四十肩,五十肩,いわゆる鞭打ち損傷や頭部外傷後遺症,腰痛,その他原因不明の疾患があり,ある種の治療効果を挙げてきた.しかし理論的根拠に乏しく,またその治療の多くが針灸師によりなされていたために,科学的な理論にうらづけられたものより,むしろ経験的なものと考えられていた.しかしその治療効果については,患者および一部の医師は有効であると考えていたようである.
 最近になつて中国において,この古来よりのハリ治療が難聴や麻酔として利用されたとの報告がなされてきた.そしてこの成果について賛否両論がありそのいずれともいえなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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