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文献詳細

雑誌文献

臨床外科31巻2号

1976年02月発行

臨床研究

甲状腺機能亢進症における緊急手術

著者: 松土昭彦1 原田種一1 大向良和1 妹尾亘明1 山本康久2 中条信義3

所属機関: 1川崎医科大学内分泌外科 2川崎医科大学消化器外科 3川崎医科大学麻酔科

ページ範囲:P.217 - P.222

文献概要

はじめに
 Thyroid crisisは,甲状腺機能亢進症に発症するきわめて重篤な疾患である.過去においては,甲状腺剔出術後に起こることが多かつたが,最近では,各種抗甲状腺剤の出現により,euthyroidの状態で手術を施行するようになり,術後crisisはほとんどみられなくなつた.しかしながら,いわゆるmedical crisisと呼ばれる未治療患者に発症したもの,あるいは,isotope治療や,抗甲状腺剤使用中に発症したもの,さらに機能亢進状態の患者で,甲状腺以外の臓器に外科的侵襲を加えて発生したcrisisなどは,まだあとをたたない.このような患者が,われわれ外科医にとつて問題になるのは,甲状腺以外の臓器に対する緊急手術の必要性が生じた場合である.このような場合は,crisisの発症を予測し,これに対する十分な予防処置を行なうことが重要である.
 最近われわれは,甲状腺機能亢進症の患者で緊急手術を必要とした症例を経験したが,幸いcrisisを発症させることがなく,術後順調に経過させることが出来たので,われわれのとつたcrisis防止の処置を報告し,あわせて本邦の最近10年間のthyroid crisis報告例を集計して検討した結果を基にして,若干の考案を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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