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メカニズムをめぐる諸説
前回セロトニンとカテコールアミンの脳幹における関係を述べ,カテコールアミンのリリースをハリが促すかもしれないと述べた.しかしこれは逆の説もある.それは次のような事実による.痛覚閾値上昇は,セロトニンの脳内レベルの減少時,セロトニン合成阻止剤PCPA投与時,およびraphe nucleiを破壊すると現われにくいことが知られている,さらに,モルヒネの痛覚閾値上昇とハリの作用とが類似しているとの報告などの事実による.
このような事実から,武重らはハリの作用をセロトニンのリリースと関係づけ,「ハリ刺激により中脳のニューロン活動が活発になり,これにより誘起された体液性因子によるセロトニン含有細胞が活動し,下行性に痛覚抑制を加え,その結果痛覚伝導系が全般に抑制を受ける」との作業仮説をたてている.いずれの説がより事実の説明に合致するのか,今後の臨床的なデータの積み重ねによらねばならない.また筆者のデータは上行性system,武重の説は下行性systemに対するハリの作用と考えられるかもしれない.ここで更にハリのactivationに対する別の臨床的データを示し,おそらくreticular formationを介してハリが働くであろうと推定される別の事実をあげる.
前回セロトニンとカテコールアミンの脳幹における関係を述べ,カテコールアミンのリリースをハリが促すかもしれないと述べた.しかしこれは逆の説もある.それは次のような事実による.痛覚閾値上昇は,セロトニンの脳内レベルの減少時,セロトニン合成阻止剤PCPA投与時,およびraphe nucleiを破壊すると現われにくいことが知られている,さらに,モルヒネの痛覚閾値上昇とハリの作用とが類似しているとの報告などの事実による.
このような事実から,武重らはハリの作用をセロトニンのリリースと関係づけ,「ハリ刺激により中脳のニューロン活動が活発になり,これにより誘起された体液性因子によるセロトニン含有細胞が活動し,下行性に痛覚抑制を加え,その結果痛覚伝導系が全般に抑制を受ける」との作業仮説をたてている.いずれの説がより事実の説明に合致するのか,今後の臨床的なデータの積み重ねによらねばならない.また筆者のデータは上行性system,武重の説は下行性systemに対するハリの作用と考えられるかもしれない.ここで更にハリのactivationに対する別の臨床的データを示し,おそらくreticular formationを介してハリが働くであろうと推定される別の事実をあげる.
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