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文献詳細

雑誌文献

臨床外科31巻5号

1976年05月発行

文献概要

臨床報告

細小血管外科の手技を応用した先天性乳房欠損の再建の1例

著者: 藤野豊美1 原科孝雄1 青柳文也1 阿部令彦2 榎本耕治2

所属機関: 1慶応義塾大学医学部形成外科 2慶応義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.677 - P.681

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はじめに
 細小血管外科microvascular surgeryの歴史は,Ja-cobson1)(1960)が,手術用顕微鏡下で血管外径1.4から3.2mmの頸動脈の吻合に100%成功したことに始まる.以来,形成外科領域では,皮弁(有茎植皮)を遊離植皮と同様に,一回の手術で遠位に移植させようとする試みが行なわれ,実験的には,Goldwyn2)(1963)が初めて犬の下腹部の皮弁に一対の動静脈をつけ,これを移植部血管と吻合する試みを行なつたが,同じ方法でKrizek3)(1965)が初めて成功した.本邦では,われわれ4)の追試が初めての報告である.そして臨床的には,浅側頭動静脈の応用が可能であると予報している5)
 藤野,田嶋6)(1970)は,顔面血管腫の症例に,初めてfree groin flapの応用をすべく手術を行なつたが,その症例では適当な静脈をみつけることができず,移植を断念したと手術記事にのべている.臨床的な成功はDaniel7)(1973)によつて,初めて報告されているごとく,細小血管外科の形成外科的応用はごく最近の発展である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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