臨床外科31巻5号

1976年05月発行

臨床報告

橈骨動脈外膜嚢腫と思われる1治験例について

著者： 杉浦芳章¹ 阪口周吉¹ 三方淳男² 張ヶ谷健一²

所属機関： ¹慶応義塾大学医学部外科 ²慶応義塾大学医学部病理

ページ範囲：P.683 - P.686

はじめに
　動脈の外膜嚢腫は稀な疾患であるが，1947年Atki—ns^1），1957年Hiertonn^2）以来欧米では60余例，わが国では1961年の石川^3）以来4例の報告がある．しかしそのほとんどは膝窩動脈に認められたもので，橈骨動脈に発生したものについては1965年Bäckström^4）が2例を報告しているに過ぎない，すなわち極めて稀な疾患であるが，筆者らは最近本症と思われる1例を経験したのでここに報告する．