文献詳細
特集 早期大腸癌の外科
早期大腸癌の診断―X線診断
著者: 吉川保雄1 勝田康夫1 織田貫爾1 佐々木輝男1 小笠原隆1 若林芳敏1 白壁彦夫1 狩谷淳2 水野幸一2 別府良彦2 高木正隆2 間山素行2 田沢浩2 長浜徴3 中島孝晃3 市川勝基3 山口一紘3
所属機関: 1順天堂大学消化器内科 2千葉県がんセンター 3順天堂大学消化器外科
ページ範囲:P.717 - P.724
文献概要
本邦における早期大腸癌の頻度は,早期胃癌に比べて極めて少ない.この理由として,従来,1)大腸X線検査は胃X線検査のように手軽にできないこと,2)胃に比べて発生頻度が少ないこと,3)癌の早期発見に効果的な大腸X線検査法が確立していないこと,などが挙げられている.しかし,現在では,WelinおよびBrownらの努力によつて大腸X線検査法は大幅に改良され,苦痛の少ない,より簡便な二重造影法が大腸X線診断の主体となつた.
また,早期大腸癌には現在のところ,早期胃癌に多くみられる表面陥凹型や表面平坦型が発見されていないので,性状診断は早期胃癌ほどの多彩性がなく比較的単純である.茎の有無も性状診断の決め手にならない.したがつて,早期大腸癌の診断にもつとも重要なことは,効率のよい,手技の簡便な二重造影法を駆使して,もれなく"大腸ポリープ"をひろい上げることである.そして,ポリープの大小にかかわらず,また,茎の有無にかかわらず,組織診断で悪性の有無を確めることである.
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