文献詳細
文献概要
臨床報告
胆道疾患を伴った内臓逆位症の2例
著者: 重松宏1 是久博見1 重松貞彦1 原啓一1 岩谷真宏1 盛岡康晃1
所属機関: 1茅ヶ崎市立病院外科
ページ範囲:P.953 - P.959
文献購入ページに移動内臓逆位症は,既に紀元前Aristotleが動物において認めたといわれ1),16世紀中頃Cornerius Gema2)が,1600年にはFabricius3)が,それぞれ肝脾の逆位例を,また1615年Petrius Servius,1643年Marcelles Le-ciusが,完全内臓逆位症の剖検例を報告した4).フランス女王Marie de Mediciが最初の生きた人間例といわれている5)が,1824年Kuchenmeisterは臨床例6)を報告し,1897年にいたつてVehsemeyer's7)が初めてX線による診断を行ない,爾来数多くの内臓逆位症例が認められる様になつた.本邦においては,1889年(明治22年)笠原8)が最初の臨床診断を,また,1892年(明治25年)熊谷,1894年(明治27年)中西が剖検例を報告し,1904年(明治37年)松田,蒿科が最初のX線診断を行なつて以来9),1,000例を超える報告例がみられる.
内臓逆位症の頻度は,VaranoとMerklin10)が諸家の報告を比較し8,000人に1人が妥当であろうとしている.
掲載誌情報