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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科31巻9号

1976年09月発行

雑誌目次

特集 進行胃癌の化学療法

進行胃癌の化学療法—綜説

著者: 斉藤達雄 ,   横山正和

ページ範囲:P.1121 - P.1130

はじめに
 近年,診断法の進歩によつて,早期胃癌の発見頻度の上昇とともに,外科的切除による胃癌の治癒率が飛躍的に向上したが,手術不能癌あるいは再発癌の状態でわれわれを訪れるものは依然として多く,従つてわが国においては化学療法の重要な対象疾患となつている.
 いわゆるsurgical adjuvant chemotherapyについては,他の著者によつて述べられる予定であるので,ここでは著者らの専門とする内科的立場から,手術不能および再発胃癌に対する化学療法を,最近の動向を中心に,著者らの成績48-51,57,58,76)を加えながら論じたい.

進行胃癌に対する化学療法の実際—治癒切除例に対する併用化学療法

著者: 近藤達平 ,   今泉宗久 ,   市橋秀仁 ,   亀井秀雄

ページ範囲:P.1131 - P.1137

はじめに
 わが国では胃癌は全癌患者の約半数近くを占めており,胃癌に対する治療法を確立することは極めて重要な課題である.現状では胃癌を根治する手段は早期に発見して外科的に切除することが第一であるが,術後の再発はかなり多く,治癒手術例の約40%が癌の再発で5年以内に死亡している1).手術に併用して癌化学療法を施行すれば,手術時撒布された癌細胞あるいは取り残された癌細胞を根絶して,転移,再発を防止できるという考えのもとに,胃癌に対する補助化学療法が施行されてきたが,必ずしも十分な成果をあげえなかつた.その理由は外科療法および化学療法の効果の背景となる宿主の免疫能に未解決の点が多いことが一つの大きな原因であろう.従つて,胃癌の根治手術患者に従来の化学療法を効果的に併用し,担癌宿主の抵抗性や癌の細胞性免疫を高めうればより強く癌に対抗でき,その治療成績をさらに向上させることができるであろう.本稿では胃癌の治癒切除例に併用してわれわれが行なつてきた補助化学療法ならびに補助免疫化学療法について,その成績および副作用を中心に考察する.

進行胃癌に対する化学療法の実際—非治癒切除例に対する併用化学療法

著者: 貝原信明 ,   副島一彦 ,   中村輝久 ,   井口潔

ページ範囲:P.1139 - P.1143

はじめに
 胃癌に対してたとえ治癒切除がなされてもかなりの頻度に再発し,このため何らかの補助療法が必要であり,最近では化学療法が盛んに行なわれているが,この場合はあくまでも外科療法が主であり,化学療法は従であると考えられている.ところが非治癒切除におわつた場合には,その後になされる化学療法こそ患者の延命をもたらす主たる治療法であり,結果的には外科療法は補助療法的なものであるとさえいえる.このような観点から非治癒切除例に対する化学療法のあり方を考えてみると,従来行なわれてきたような術中あるいは術後の比較的短期間のみの化学療法では不十分であると思われ,事実,その効果もあまりみられなかつた.
 われわれは,胃癌の治療成績を向上させるためには術後も長期にわたり計画的に化学療法を行なうことが必要であると考え,数年前よりPostoperative Long-term Cancer Chemotherapy(P-LCC)を実施しているが4),本稿では主として非治癒切除例に対するPLCCの効果についてのべ,非治癒切除例に対する併用化学療法のあり方について考えてみたい.

進行胃癌に対する化学療法の実際—切除不能例に対する化学療法

著者: 古江尚 ,   古川一介 ,   鑑江隆夫 ,   中尾功 ,   横山正

ページ範囲:P.1145 - P.1150

はじめに
 わが国の癌の死亡数は年間13万人で,その40%近くを胃癌が占めている.さらにこれを消化器癌全体にひろげると,その比率は60%以上にも達する.胃癌の化学療法についてえられた成績は他の消化器癌にも適用できるわけで,その研究は非常に重要である.しかし最近はもちろん,30年にわたる化学療法発展の歴史を通じても,胃癌よりはるかに患者数の少ない白血病や悪性リンパ腫の化学療法に関する報告の方が,胃癌に関するものよりも数が多い.このことは胃癌の化学療法の困難さを如実に物語つているのであつて,その効果は進行癌に対するもの,付加的化学療法とも,甚だ不満足なものである.こういう差はもちろん腫瘍細胞の薬剤感受性とか,薬剤の作用する場の相違などが関係するものであろうが,胃癌細胞と白血病あるいは悪性リンパ腫の腫瘍細胞との間の生物学的,あるいは生化学的差が本質的なものか,あるいはその差がただ単に量的なものにすぎないのか,その点が問題である.従来抗癌剤のScre-eningは主として白血病細胞に有効な薬剤を目標として行なわれて来た.しかしもし胃癌細胞と白血病細胞との間に本質的な差があるとすれば,われわれは抗癌剤のScreeningのあり方にも根本的変更を加えなければならないし,またもしその差がただ単に量的なものにすぎないとすれば,胃癌においても,われわれが白血病や悪性リンパ腫において成功したのと同じ方式をおし進めていけばよいことになる.
 以下われわれの1951年から1972年までの22年間の切除不能胃癌946例の治療成績をふりかえりながら,今後の胃癌の化学療法のあり方について考察を加えてみたい.なお化学療法有効例とは,明らかな,径で25%以上の腫瘍の縮小がみとめられた症例をいう.またつぎの如き略号を用いた.MMC (Mitomycin C),5-FU (5-fluorou-racil),Ex (Endoxan),CA (Cytosine arabino-side),CHMR (Toyomycin),Ft 207(Futraful).

進行胃癌に対する化学療法の実際—切除不能例に対する動注化学療法;照射併用療法も含めて

著者: 三浦健 ,   石田正統 ,   和田達雄 ,   木暮喬 ,   片山憲恃 ,   宮原透 ,   橋本大定 ,   灰田公彦 ,   灰田茂生

ページ範囲:P.1151 - P.1165

はじめに
 切除不能の進行癌に対して,抗癌剤を全身性に投与すると,白血球減少,血小板減少,貧血,脱毛,下痢などの副作用が強く,十分な治療効果の得られぬうちに治療を中止せざるを得ないことが多い.
 抗癌剤の特殊な投与法の試みとして局所動脈内注入療法があり,主として頭頸部腫瘍や四肢の腫瘍,肝腫瘍などを対象に各地で試みられて来た.著者らも10年前より主として肝腫瘍を対象に肝動脈内注入化学療法5,23,25,27,30,31)を試み,認むべき効果をあげて来たが,最近ではわれわれの最もしばしば遭遇する切除不能の胃癌4,21,22,28),結腸・直腸癌7,19,24,29)に対しても局所動注による化学療法を試みている.

手術麻酔侵襲下の術後化学療法の問題点—とくに肝障害について

著者: 中島聡総 ,   田中一成 ,   近森正幸

ページ範囲:P.1167 - P.1173

はじめに
 今日,臨床的に利用されている制癌剤は腫瘍に対して特異的な親和性を有する訳ではないから,正常組織への作用が副作用という形で問題になつてくる1).外科領域に化学療法が導入され,手術と併用する補助的療法の一つとなつてから既に久しいが,ここでも副作用は不可避的な問題として,臨床医を悩ませている2,3).化学療法による副作用は正常組織でも特に細胞分裂の盛んな骨髄,消化管上皮,毛根,爪などに現われることが多いが,代謝中枢である肝臓や排泄経路にあたる腎臓への影響も考えられる4).癌研外科では1961年以来,胃癌の治癒手術症例の術後に,種々の化学療法を施行し,再発の予防に努めている.しかし手術および麻酔侵襲下にある術直後から化学療法を施行すると,内科領域の化学療法において認められる副作用の他に,術後化学療法に特徴的な副作用,とくに肝障害がかなり高頻度に発現することがある5).こうした術後化学療法に伴う肝障害はかなり観察されているも拘らず,石川ら2)の報告を除いて,十分な検討がなされておらず,安全な化学療法を施行するためにも,対策が急がれていた.
 当科では非治癒手術や再発症例に対して,手術から2週間以上経過して施行した化学療法においては,肝障害がきわめて少ないことを観察し5),1974年以降は胃癌の術後化学療法はすべて手術から2週間以上経過してから開始するようにした.その結果,肝障害は対照群と同程度にまで減少したので,その詳細を報告し,あわせて副作用をめぐる補助化学療法の問題点について2,3言及したい.

カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・14

胃陥凹性病変の良・悪性の鑑別—その2

著者: 相馬智

ページ範囲:P.1118 - P.1119

IIcに集中する粘膜ヒダの変化
 図①は角上後壁のIIcとそれに集中する粘膜ヒダの変化を示す内視鏡像である.2本の桿棒状腫大と,2本の急激なやせを示す粘膜ヒダがみられる.前壁よりの粘膜ヒダの尖端はいずれも鋭利にそがれた面となり,連続性の虫喰い像として観察される.図②の切除標本で虫喰い,あるいはやせが全周性に追跡されることが更によく理解されるが,この際粘膜ヒゲのやせを注意してみると,潰瘍の中心に向つて,やせの境界は常に凹状,concaveとなつている.これに対し随伴性胃炎にみられる粘膜ヒダのやせは,潰瘍の中心に向つて凸状,convexの形をしており,たとえ急激なやせの所見を呈していても,その尖端は凸状の丸味を有している.
 図③は胃角小彎の潰瘍を示す.潰瘍周辺に狭い陥凹部がみられ,これに集中する粘膜ヒダはこの陥凹部で終つている.よく観察すると中心部に向つて尖端は丸味をおびて終つており,虫喰い像として連続性に追跡しえない.この例は良性潰瘍周囲の随伴性胃炎である.

座談会

胃癌の化学療法—基礎と臨床の立場から

著者: 木村正 ,   中島聡総 ,   古江尚 ,   下山正徳 ,   塚越茂 ,   伊藤一二

ページ範囲:P.1174 - P.1187

 癌の化学療法は,手術,放射線に次ぐ第3の療法として,大きな関心と期待が寄せられています.しかし現実は,抗癌剤の副作用及びその投与法,あるいは他の療法との組合わせに伴う問題等,一般のそうした期待に応えるまでに未だ困難な道程が残されているようです.
 そこで今回,最もpopularで且つ最も難しいと言われる胃癌の化学療法をとりあげ,この方面で長年に亘り努力されている先生方にお集りいただき,外科,内科,基礎それぞれの立場から,現状における具体的な問題点,更に将来への展望まで,忌憚のないご意見を聞かせていただきました.

講座

ハリ麻酔—⑧針刺入と刺激の問題点

著者: 神山守人

ページ範囲:P.1189 - P.1191

ハリ麻酔の理論的研究
 1958年に,中国でハリ麻酔が成功したことは驚異的な事実であり,大いに賞賛に値する事柄である.
 ハリ麻酔の発見は,一般の内科的な疾患の治療に使用して痛みをとることができるハリの技術で,外科手術の痛みもとることができないだろうかという素朴な疑問から発しているという.

臨床研究

糖尿病患者の術前,術中,術後管理

著者: 石塚玲器 ,   小野寺功 ,   佐藤知義 ,   吉川泰生 ,   川崎和雄 ,   前川隆

ページ範囲:P.1193 - P.1199

はじめに
 糖尿病(以下DMと略す)患者に対する手術管理は,従来緊急手術,予定手術とも,DMの調整は内科,手術は外科という考え方がいまだに少なくない.しかし,一般手術管理が,術前,術後を通じて外科医の責任においてなされる様になり,大きな進歩をみるに至つた現在,DMに対しても同様で,その十分な代謝管理能力なくしては当然手術成績の向上は望めない.内科より外科,そして外科より内科へと移行期の境界領域の管理,および麻酔,手術,術後と多くのリスクをのりきるためには,外科医自身が直面する大きな責任がある.特にリスクの大きい重症DMの緊急手術成績向上のためには,日頃から多くのDM予定手術例についての管理が基礎となる.著者は,DM管理を行なう外科医の立場から,術前,術中,術後を通じて臨床上の焦点となるインスリン,輸液を中心に述べてみたい.

Aortoiliac occlusive diseaseの外科治療

著者: 数井暉久 ,   浅井康文 ,   田中信行 ,   樫野隆二 ,   小松作蔵 ,   和田寿郎

ページ範囲:P.1201 - P.1205

はじめに
 腹部大動脈分岐部領域の閉塞性動脈疾患(Aortoiliacocclusive disease)は欧米に比較すると本邦においては著しくその発生頻度が少ないとされていたが,近年生活様式の欧米化,平均寿命の延長などに伴い動脈硬化症に起因するこれら本症が漸次増加する傾向にあり,また血管外科の著しい進歩に伴い積極的に血行再建術が行なわれるようになつてきた.しかしながら,本症は一般に高齢者に多く,また動脈硬化性病変が冠動脈および脳動脈等に波及していることが多いことからも,その外科的治療の選択には十分慎重でなければならない,今回われわれは急性および慢性のaortoiliac occlusive diseaseに対しての血行再建術についてその成績および問題点について検討を加えたので報告する.

頭頸部外傷患者における自律神経機能検査成績—その1

著者: 木下公吾

ページ範囲:P.1207 - P.1212

はじめに
 頭部外傷後遺症(狭義—肉眼的病変・所見が明らかでないもの1,2)—)および外傷性頸部症候群は極めてありふれた疾患であるが,それにもかかわらず,まだ不明の点も多い.中でも最も奇異に感じられることは,従来から言われているごとく,重症の頭部外傷患者には頭部外傷後遺症(狭義)(以後,単に頭部外傷後遺症と記す)を発生することは少なくて,軽症の頭部外傷患者に多く発生することである.また,外傷性頸部症候群も,頭部外傷後遺症と同じ範疇に入るものとみなされ,最近では,頭頸部外傷症候群として統一されているようである3)
 この,軽度の外傷の方がかえつて後遺症の発生が多いということは,器質的変化のみでは説明し難いことを物語つていると思われる.その一端を探る試みとして,頭部外傷および外傷性頸部症候群の患者について自律神経機能検査を試みたので,その成績を報告し,諸賢のご批判を仰ぐ次第である.

乳腺疾患における穿刺吸引細胞診—癌,非癌の細胞学的考察

著者: 北村正次 ,   冨永健 ,   鄭則之 ,   田口鉄男 ,   岩信造 ,   斉藤雅子 ,   飯島陽子

ページ範囲:P.1213 - P.1219

はじめに
 近年乳癌患者ますます増加の傾向にあり,そして一般婦人の乳癌に対する関心も上昇し,検査を受けるために病院を訪れる婦人も多くなつて来た.乳腺疾患の外来受診者の年齢分布をみても若い婦人層の増加がみられ,また乳癌の集団検診においても同様の傾向がみられる1).しかしながら,現実にはそれらの若年者の乳腺腫瘤,特に良性疾患に対してむやみに切除生検を行ないすぎる傾向がないとはいえない.
 一方乳腺疾患の補助診断法,たとえば乳房X線診断,超音波診断,ゼロラジオグラフィー,サーモグラフィー等による診断の進歩とともに,腫瘤の性状に関する情報がかなり得られるようになつたが,今一歩確診の手段とはなつておらず,現実には生検を施行しなければならない場面に直面することが多い,そこでわれわれは生検よりも侵襲が少ない穿刺吸引細胞診を施行することにより,無用の生検を回避することが出来ると考え,症例の検討を重ねて来た.今回は主としてその診断の基礎となる癌例および非癌例の細胞学的特徴について検討を加えた.

中枢静脈内への成分別栄養輸液法

著者: 前谷俊三

ページ範囲:P.1221 - P.1225

はじめに
 従来行なわれてきた末梢静脈内への栄養輸液に対して,心房近くの大静脈に留置したカテーテルを介する栄養補給は,高張液の持続注入が可能なため,栄養素,とくに炭水化物の投与量の大幅な増加と相まつて,栄養状態の改善や創傷治癒などに優れた効果をもたらした.しかしなおカテーテル挿入の不慣れや,栄養輸液作成や輸液管理の煩雑さ,あるいは合併症に対する危惧などのため,その適応がありながら実施をためらう場合も少なくない.しかもその実施にあたつては種々の工夫が必要であるが,その具体的方法を述べた文献は少ない1).著者は1970年本法を始めて以来種々の工夫を加え,その一部は既に発表したが2,3),更に改良の末,一般病院でも実施可能と思われる並列(成分別)栄養輸液法に至つた.この方法は炭水化物,アミノ酸,電解質などを別々に並列して,同時に注入するのが特徴であり,栄養素の混合液を作る手間が省け,かつその際の汚染の危険を防ぎ,更に患者の状態に応じて輸液の組成や投与量の変更ができ,しかも輸液計画が立てやすいという利点がある.そこでその具体的実施法を紹介する.

臨床報告

トロトラストによる肝癌の1症例

著者: 有本重也 ,   勝田仁康 ,   川嶋寛昭 ,   田伏俊作 ,   高山勇 ,   上山庸弘 ,   西川正一 ,   上山健弘 ,   内藤行雄 ,   山本富一 ,   永井清和

ページ範囲:P.1227 - P.1231

はじめに
 二酸化トリウム(ThO2)を主成分とする造影剤,「トロトラスト」(以下「ト」と略す)は,本邦では1930年から1943年項まで主に肝脾造影,血管撮影に頻繁に使用された。しかし本剤の放射線障害が指摘され,その使用が中止されて以来も多数の障害例が報告され,当時注入を受けた患者の予後調査も行なわれている.今日では放射性物質の人体に及ぼす影響の研究資料としてこれら症例の放射線障害と発癌との関係が重視されている.最近著者らは,35年前「ト」注入を受けた患者に肝癌を合併した1例を経験したので報告し若干の文献的考察を加える.

肝結核腫を合併した興味ある大腸結核症の経験

著者: 近藤肇彦 ,   原田隆浩 ,   木村文夫 ,   乾英明 ,   臼谷直純

ページ範囲:P.1233 - P.1236

はじめに
 近年,化学療法の著しい進歩と共に結核性病変は一般に減少し,報告も急にその数を減じている昨今である.しかし少数ではあるが化学療法の奏効しない例には治療上さらに検討せざるべき問題も残存している.最近われわれは孤立性腸結核症の診断のもとに開腹し,肝結核腫を伴つていた症例を経験したので,これに関する若干の考察を加え報告する.

膵炎後結腸間膜膿瘍の4例

著者: 安井健三 ,   加藤好包 ,   矢野洋 ,   池沢輝男 ,   岸田登治 ,   加藤量平

ページ範囲:P.1237 - P.1240

はじめに
 膵炎の合併症及び続発症は多様である.局所炎症の結果としては,膵仮性嚢胞,閉塞性黄疸,膵膿瘍などがよく知られている.稀な続発症の1つである結腸間膜膿瘍の4例を経験し,治癒せしめ得たので,考察を加えて報告する.

指趾に著明な壊死をきたしたRaynaud症候群

著者: 岡田昭紀 ,   松本興治 ,   福田甚三 ,   富田良照 ,   宮本亮一 ,   村瀬恭一 ,   広瀬光男 ,   稲田潔

ページ範囲:P.1241 - P.1246

はじめに
 1969年1月より1975年6月までに教室で経験したRaynaud病,およびRaynaud症候群は51例(男11例,女40例,平均年齢33.8歳)であるが,うち5例では指趾に著明な壊死性変化がみられた.一般にRayn-aud病はもちろん,二次的Raynaud症候群でも指趾に著明な壊死をみることは比較的少ない.これらについて膠原病との関連を中心に若干の検討を加え報告する.

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あとがき

著者: 卜部美代志

ページ範囲:P.1246 - P.1246

 癌治療の基本的なものは,依然として外科療法である.最近,化学療法が発達して,これが癌治療の相当の部分を占め,放射線療法,免疫療法がそれぞれ癌治療の少部分をうけもつている現況である.
 しかし,一部の癌を除き,外科療法のみで癌の治療成績の飛躍的の向上を期待できないことは万人の認めるところである.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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