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特集 進行胃癌の化学療法
進行胃癌に対する化学療法の実際—非治癒切除例に対する併用化学療法
著者: 貝原信明1 副島一彦1 中村輝久1 井口潔1
所属機関: 1九州大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1139 - P.1143
文献購入ページに移動胃癌に対してたとえ治癒切除がなされてもかなりの頻度に再発し,このため何らかの補助療法が必要であり,最近では化学療法が盛んに行なわれているが,この場合はあくまでも外科療法が主であり,化学療法は従であると考えられている.ところが非治癒切除におわつた場合には,その後になされる化学療法こそ患者の延命をもたらす主たる治療法であり,結果的には外科療法は補助療法的なものであるとさえいえる.このような観点から非治癒切除例に対する化学療法のあり方を考えてみると,従来行なわれてきたような術中あるいは術後の比較的短期間のみの化学療法では不十分であると思われ,事実,その効果もあまりみられなかつた.
われわれは,胃癌の治療成績を向上させるためには術後も長期にわたり計画的に化学療法を行なうことが必要であると考え,数年前よりPostoperative Long-term Cancer Chemotherapy(P-LCC)を実施しているが4),本稿では主として非治癒切除例に対するPLCCの効果についてのべ,非治癒切除例に対する併用化学療法のあり方について考えてみたい.
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