文献詳細
臨床研究
文献概要
はじめに
頭部外傷後遺症(狭義—肉眼的病変・所見が明らかでないもの1,2)—)および外傷性頸部症候群は極めてありふれた疾患であるが,それにもかかわらず,まだ不明の点も多い.中でも最も奇異に感じられることは,従来から言われているごとく,重症の頭部外傷患者には頭部外傷後遺症(狭義)(以後,単に頭部外傷後遺症と記す)を発生することは少なくて,軽症の頭部外傷患者に多く発生することである.また,外傷性頸部症候群も,頭部外傷後遺症と同じ範疇に入るものとみなされ,最近では,頭頸部外傷症候群として統一されているようである3).
この,軽度の外傷の方がかえつて後遺症の発生が多いということは,器質的変化のみでは説明し難いことを物語つていると思われる.その一端を探る試みとして,頭部外傷および外傷性頸部症候群の患者について自律神経機能検査を試みたので,その成績を報告し,諸賢のご批判を仰ぐ次第である.
頭部外傷後遺症(狭義—肉眼的病変・所見が明らかでないもの1,2)—)および外傷性頸部症候群は極めてありふれた疾患であるが,それにもかかわらず,まだ不明の点も多い.中でも最も奇異に感じられることは,従来から言われているごとく,重症の頭部外傷患者には頭部外傷後遺症(狭義)(以後,単に頭部外傷後遺症と記す)を発生することは少なくて,軽症の頭部外傷患者に多く発生することである.また,外傷性頸部症候群も,頭部外傷後遺症と同じ範疇に入るものとみなされ,最近では,頭頸部外傷症候群として統一されているようである3).
この,軽度の外傷の方がかえつて後遺症の発生が多いということは,器質的変化のみでは説明し難いことを物語つていると思われる.その一端を探る試みとして,頭部外傷および外傷性頸部症候群の患者について自律神経機能検査を試みたので,その成績を報告し,諸賢のご批判を仰ぐ次第である.
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