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臨床研究
中枢静脈内への成分別栄養輸液法
著者: 前谷俊三1
所属機関: 1天理よろづ相談所病院腹部・一般外科
ページ範囲:P.1221 - P.1225
文献購入ページに移動はじめに
従来行なわれてきた末梢静脈内への栄養輸液に対して,心房近くの大静脈に留置したカテーテルを介する栄養補給は,高張液の持続注入が可能なため,栄養素,とくに炭水化物の投与量の大幅な増加と相まつて,栄養状態の改善や創傷治癒などに優れた効果をもたらした.しかしなおカテーテル挿入の不慣れや,栄養輸液作成や輸液管理の煩雑さ,あるいは合併症に対する危惧などのため,その適応がありながら実施をためらう場合も少なくない.しかもその実施にあたつては種々の工夫が必要であるが,その具体的方法を述べた文献は少ない1).著者は1970年本法を始めて以来種々の工夫を加え,その一部は既に発表したが2,3),更に改良の末,一般病院でも実施可能と思われる並列(成分別)栄養輸液法に至つた.この方法は炭水化物,アミノ酸,電解質などを別々に並列して,同時に注入するのが特徴であり,栄養素の混合液を作る手間が省け,かつその際の汚染の危険を防ぎ,更に患者の状態に応じて輸液の組成や投与量の変更ができ,しかも輸液計画が立てやすいという利点がある.そこでその具体的実施法を紹介する.
従来行なわれてきた末梢静脈内への栄養輸液に対して,心房近くの大静脈に留置したカテーテルを介する栄養補給は,高張液の持続注入が可能なため,栄養素,とくに炭水化物の投与量の大幅な増加と相まつて,栄養状態の改善や創傷治癒などに優れた効果をもたらした.しかしなおカテーテル挿入の不慣れや,栄養輸液作成や輸液管理の煩雑さ,あるいは合併症に対する危惧などのため,その適応がありながら実施をためらう場合も少なくない.しかもその実施にあたつては種々の工夫が必要であるが,その具体的方法を述べた文献は少ない1).著者は1970年本法を始めて以来種々の工夫を加え,その一部は既に発表したが2,3),更に改良の末,一般病院でも実施可能と思われる並列(成分別)栄養輸液法に至つた.この方法は炭水化物,アミノ酸,電解質などを別々に並列して,同時に注入するのが特徴であり,栄養素の混合液を作る手間が省け,かつその際の汚染の危険を防ぎ,更に患者の状態に応じて輸液の組成や投与量の変更ができ,しかも輸液計画が立てやすいという利点がある.そこでその具体的実施法を紹介する.
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