文献詳細
文献概要
特集 人工肛門のAfter Care
人工肛門after careの実際—ストーマの処理:局所管理からみた治療と実際
著者: 田沢賢次1 田島健三1 曽我淳1 藤巻雅夫1 武藤輝一1
所属機関: 1新潟大学医学部第1外科
ページ範囲:P.43 - P.50
文献購入ページに移動ストーマが造設された場合,医師は患者が退院するまでに,排便のコントロールおよびストーマ周囲の皮膚炎,糜爛等に関する治療方法を患者自身が十分に出来るように指導する必要がある.しかし実際には排便のコントロールなどは長期間の慣れと忍耐を必要とし,手術直後から退院までの期間は多くの場合,軟便が主であり皮膚炎も必発である.また手術患者の排便が規則正しく,1日数回程度になるには平均して6ヵ月ぐらいを必要としている(図1).この期間の排便の不規則なこと,不意に襲つて来る下痢便の時は日に10数回という人も稀ではなく,皮膚炎,次いで糜爛形成,それに伴う出血を認めるようになるのが普通である.このような状態では,各個人のストーマの病状の差も考慮されなければならず,排便のコントロールはもとより毎日の局所管理が如何に大切なことであるかが理解出来る.患者にとつて局所管理を克服することが社会復帰の第一歩であり,この点を私達医師も十分に理解する必要がある.
今回の目的は,このようなストーマを有する患者に対して,実際の局所の処理はどうあるべきか,最近皮膚保護の点からもその有効性が認められているカラヤゴム使用による管理,局所管理からみた理想的装具,さらに食事コントロールと局所管理,局所管理の一つとしての浣腸排便の効用についても述べてみたい.参考までに現在国内で市販されている製品とメーカーについても紹介した(表4).
掲載誌情報