icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻1号

1977年01月発行

講座

ハリ麻酔—⑩ハリ麻酔の有効性

著者: 神山守人1

所属機関: 1杏林大学医学部麻酔科学教室

ページ範囲:P.82 - P.83

文献概要

 ハリ麻酔が催眠術や呪術とは異なることは現在では明らかになり,実際に存在することは認められてきているが,西欧にこれが紹介された初期には催眠術の一種と何ら変ることはないとする報告もなされている.しかし実際に中国に視察に行つたグループが中国の真面目な研究陣と話しあうにおよんで,その疑問は氷解してきているようである.しかし,催眠効果を導入するにはやや時間がいること催眠効果を確実にするためにくり返しある行動をとらせることなどより,ハリの刺激が一つの催眠効果を助長する手段となつているとの解釈もあった.
 身体の各部では無痛化と刺激との関係がなかなかはつきりとつかめないが,歯痛に関してはハリ麻酔の刺激点と無痛化の領域によい相関があるのに目をつけて,歯牙電気刺激に対するハリ麻酔の無痛化の効果をみて,閾値の程度を研究することがなされている.それによればハリ麻酔後には明らかに歯の痛みを起こさせるに要する電流の強さを増さねばならない.つまり痛みの閾値が上昇していることが見出されている.この閾値の上昇の程度は報告者により差があるが,低いものでは,ハリ麻酔はコデインの60mgにも及ばずわずかに2.9μAの刺激電流が3.4μAまで上昇したにずぎないとするものから,約8割の人が1.5〜2.0倍に閾値が上昇し,人によつて最も感受性の高い人は4倍にも達しているとするものなどがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら