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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科32巻10号

1977年10月発行

雑誌目次

特集 肺癌—新しい診療のポイント

早期肺癌の診断—集団検診によるアプローチ

著者: 西村穰 ,   杉浦孝彦

ページ範囲:P.1213 - P.1218

はじめに
 近年わが国における肺癌の増加は著しい.厚生省の人口動態統計によると人口10万当たりの肺癌訂正死亡率は1950年の男1.9,女0.8に対して1974年では男12.2,女4.5となり,戦後の4半世紀の間に男6.4倍,女5.6倍の増加を示している1).また1972年には肺癌死亡者数は肺結核死亡者数を上まわつた.これはわが国における重要な社会問題である.
 ところで肺癌の予後は一般に極めて不良とうけとられている.たしかに肺癌全体から見た5年生存率はたかだか数%をこえない.それでは何が肺癌の成績をこの様に悪くしているか.

早期肺癌の診断—X線・内視鏡的立場から

著者: 難波煌治 ,   塩谷寿美恵 ,   山内俊忠 ,   鈴木明 ,   西脇裕

ページ範囲:P.1219 - P.1226

はじめに
 近年増加の一途をたどる肺癌も,われわれが実際に外来で診る限り進行癌の症例がほとんどである.このような進行癌の症例も外来受診以前から何らかの症状が持続していたというような場合は少なく,むしろ何らかの理由により胸部X線写真を撮り,異常影を発見されるというような場合が少なくない.
 このような患者にいかに早く肺癌との診断をつけ,早期に治療を開始するかという問題の解決策の一つは肺癌の健康診断を徹底させることであろう.もう一つの方法は何らかの理由で病院を訪れる肺癌患者を見落さないことである.そのためには肺癌の病態を十分に理解した上で,少しでも肺癌を疑う場合には直ちに精査をするということが望ましい.

私の肺癌手術—手技とそのコツ

著者: 木下巌

ページ範囲:P.1227 - P.1233

はじめに
 現在肺癌患者は,年毎に増大の傾向にあり,今後10年もすると,肺癌による死亡数が胃癌による死亡数を上廻るという.一方肺癌に対する治療法として,現在,外科療法,放射線療法,化学療法,免疫療法を何らかの形で合併して行なつているが,局所療法としての外科療法の意義は大きく,また最近のように早期発見,早期治療が行なわれれば行なわれる程,ますます外科治療の果す役割は大きいと思われる.
 一方進行性肺癌に対しても,主癌巣は外科的切除により,遺残癌巣に対しては,他の治療法により,より延命を期待するReduction Surgeryも積極的に行なわれるようになり,あらゆるstageの肺癌に外科療法の関与が大きくなつてきていると思われる.今回,私が日常行なつている肺癌の根治手術手技について述べてみたい.

私の肺癌手術—いつも心がけていること

著者: 末舛恵一

ページ範囲:P.1235 - P.1240

肺癌手術時に心掛けている諸点
1.皮膚切開
 体位は,純側臥位.そのために,胸部を側臥に保持するための可動性の側板をもつた手術台を用いている(図1.2).
 皮切,開胸は標準開胸術に準ずるが,とくに前方は,中鎖骨線にいたる程に長く切る(図3).肺門を前方から処理する場合,肺静脈,肺動脈のあるもの,および心膜内操作において,手術操作が安全容易となる.

私の肺癌手術—手技とそのコツ

著者: 早田義博 ,   清水正夫 ,   小野寿太郎

ページ範囲:P.1241 - P.1246

はじめに
 肺癌の手術は肺結核の外科より入つた医師にとつては容易である,肺結核のように強固な胸膜の癒着,葉間の強い癒合,リンパ節の石灰化と区域動脈の癒合などは少ない.またあつても癌の浸潤によるものでなければ操作は容易である.しかしこれから肺癌の外科を行なう医師にとつては容易でない点も多いであろう.肺葉切除,肺摘除が原則である肺癌では,それでの手術手技は従来の肺結核の外科を主体とした成書によれば十分である.しかし肺結核と異なる点は気管支成形,リンパ節の廓清あるいは心嚢内肺動静脈の処理や胸郭合併切除などである.ここではそれらを全て説明する余裕がないので肺葉切除に必要な上下葉間癒合例の分離,上葉切除時に必要なA1,A2,A3の切離,分岐部リンパ節摘出時の注意事項,および肺区域動脈損傷時の処理を説明する.なお,ここにあげた図はいずれも後方開胸で背部よりみたものである.最も大きな視野をうるためには横切開がよい.前方開胸では肺葉切除時肺門部,分岐部リンパ節の摘除の不自由なことが多い.

気管支・気管成形術の適応と手技

著者: 石原恒夫

ページ範囲:P.1247 - P.1252

はじめに
 気管支成形術は気管支の病変部より末梢にある肺組織の機能を温存するためにはじめられたものであり,わが国では初期には結核性の気管支狭窄の治療に多用されていた.その後,この手術の臨床的な価値が理解されるに及んで,肺癌の治療にも用いられるようになり,肺癌の手術適応はある意味で拡大した.機能的に一側肺全切除が不可能な症例に対する根治的なsleeve lobectomyはこの術式の真価を示すものである.また,かりに一側肺全切除が機能的に可能であつても,気管支成形術の適用により健常肺を温存することができれば,術後の回復にいかに有利であるかは今更力説するまでもない.さらにまた,従来の術式によれば気管分岐部あるいは気管下部にまで浸潤した肺癌は一側肺全切除によつても癌病巣を完全に摘除することはできなかつた.しかし,このような症例の中にも,気管や気管分岐部を切除した後の気道の再建の問題が解決すれば,根治的に癌病巣を切除できるものが含まれている.
 西欧では肺癌に対する気管支成形術の歴史は古いが,本邦においてはその歴史は浅い.最近漸くこの術式が普及し,気管支成形術によつて治療された肺癌症例は増加してきている.本稿においては肺癌に対する気管支成形術の適応を述べ,われわれが行なつているこの手術の代表的な手技をしるした.

肺癌手術と併用療法の実際—化学療法

著者: 山口豊

ページ範囲:P.1253 - P.1258

はじめに
 肺癌治療における外科療法は,その適応,術前・術後の管理,手術方法等といつた肺切除に関する種々の問題点はほぼ解決され,安全性が確立されてきた.しかし肺癌の外科療法の治療成績をみると他の臓器癌に比べて最も悪い癌腫の一つであるといわざるを得ない.その治療成績が悪い大きな原因は,進行した肺癌が切除例の大半を占めていることにほかならない.最も治療成績を向上させる最大のポイントは早期癌を如何に多数発見するかといつた対策が必要となつてくる.肺癌の集団検診やhigh risk groupの検診,それらに併用して喀痰細胞診が再登場して再び見直されるといつた多くの試みもその一つの努力の現われに他ならない.一方5年生存あるいは癌の治癒が期待される治癒手術例でもその成績は決して良好であるとはいえず,また切除の対象となる症例の大半が進行した肺癌であるといつたことも放射線療法,化学療法といつた併用療法が治療成績を向上させる対策として取り上げられてきたのも当然といえよう.しかしこの場合肺癌では病期の進展を常に考慮に入れて,手術療法の適応は勿論,併用療法を企画しなければならない.胸腔内に進展が限局している場合には,手術によつて癌腫の完全摘除をはかることができる.症例によつて癌腫の遺残が予想され,あるいは手術によつても取り残しがあるものでは,術前・術中・術後の放射線療法の併用もその効果を症例によつては大いに期待することが可能である,しかし癌腫が胸腔外に進展し,特にリンパ節あるいは血行転移による遠隔転移巣に対しては現在の臨床検査やRI等のすぐれた利器を駆使しても早期発見は困難なことが多い.このような現実にたつて行なわなければならない肺癌治療であつてみれば,血行性転移を早期に惹起する特性をもつ肺癌の治療を考える場合,特に外科治療を行なう時点で,すでに血行性転移を起こしている症例に肺切除を行なつている確率は高いと考えなければならない.すなわち外科療法といつた局所療法と同時に,全く認識することができない血行転移に対する治療法もadjuvant therapyとして当然考えなければならない.しかし,手術に併用する治療法も手術の時点で終了することなく,肺癌の術後の長期にわたる血行性転移の発現を考えれば,術後に継続して長期にわたつて施行されることが必要である.それにはそれらの治療法に耐える全身状態はもちろん担癌宿主の癌腫に対する抵抗性を向上させるといつた問題も考慮して,きめ細かな治療法を考えていくべきであろう.

肺癌手術と併用療法の実際—免疫療法の理論と実際

著者: 宮沢直人 ,   米山武志 ,   成毛韶夫 ,   照井頌二 ,   末舛恵一 ,   尾形利郎 ,   土屋了介

ページ範囲:P.1259 - P.1265

はじめに
 腫瘍免疫療法のプロトコールがベセスダのNIHに国際登録されているが,1975年10月の最新版には,約200以上のプロトコールが登録されている1)
 これによると肺癌に対する免疫療法のプロトコールの数は,メラノーマ,造血器腫瘍に次いで3番目に多い.

肺癌手術と併用療法の実際—放射線療法

著者: 砂倉瑞良

ページ範囲:P.1267 - P.1271

はじめに
 肺癌の治療成績は現在では外科治療が最も好成績を示すことが確実であるが,それにしても満足できるほどの結果ではない.なによりも治癒切除のできる症例が少ないからである.ましてこれが放射線治療や化学療法となれば,その成績はもつと低い.
 これらの一つ一つの治療方法では限界があるところから,これらを組み合わせた合併治療が行なわれてきた.肺癌の早期診断が発達すれば,もつと単純な方法で癌を治癒させることが可能となろうし,いずれは合併療法は不要という時代がくるかもしれないが,現在ではまだ早期癌よりもはるかに進行癌が多く.合併療法をすてるわけにはゆかない状況である.今まで多くの人によつて行なわれてきた外科治療と放射線治療の併用治療を,術前照射,術後照射,術中照射の3つに分けて,それらの特徴と問題点を考え,いま手術と放射線の合併治療のおかれている状況をながめてみることにする.

肺癌手術と患者管理

著者: 仲田祐 ,   川上稔

ページ範囲:P.1273 - P.1279

はじめに
 手術療法の成績向上のために重要なことは,肺癌患者の「早期発見」と「早期手術」に尽きるわけであるが,現実問題として,進行した肺癌患者を多く治療しなければならない現段階においては,手術術式の改良や手術と放射線療法,化学療法の併用により,術後の再発,転移の防止に努めることであろう.もう一つ肺癌手術成績向上のために閉却してはならないことは,肺癌患者はあらゆる予備能力が低下しているので,術後偶発症や合併症によつてたおれる症例(早期死亡)を減少せしめることも重要な対策である.肺癌手術は高齢者を対象とすることが多く1),かかる高齢者の肺は加齢による機能低下がすでに基盤にあるので,担癌肺(葉)を切除すると,残存肺の予備力は極端に低下した状態となる.肺は,いわゆるvitalorganであり,肺切除後の肺機能低下は,胃癌あるいは乳癌手術後の胃あるいは乳腺の機能喪失とは,全身に及ぼす影響は本質的に異なることを念頭におかなければならない.このような理由から,肺癌患者の管理として,術前には,一般の外科手術予定患者と同様,心血管,腎,肝,血液成分,電解質等の諸機能検査が必要であることは論をまたないが,特に大切なことは肺機能の的確な把握であろう.ここでは,肺癌手術と関連した術前管理,術前の肺機能評価,患者管理上留意すべき術中の処置,術後の管理等について述べる.

カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・27

消化管カルチノイド—(その2)症例集

著者: 曾我淳

ページ範囲:P.1210 - P.1211

 総論において解説したカルチノイドの肉眼的病理形態とその特性に関する知識を基にして,ここではとくに症例を選んで供覧したい.
 症例1 比較的特異的形態の胃カルチノイド(図①,②,③).極めて古典的・定型的な形態でいわゆる粘膜下腫瘍の所見である.患者は36歳男性,主訴は上腹部痛と食欲不振であつた.腫瘤の大部分は粘膜下に位置するが,ほぼ全体がポリープ状に隆起して,ほとんどが正常の粘膜て被覆されている(図①,③).しかし図②にみるように,典型的な中心臍状陥凹と放射状の架橋皺壁像がみられる.この症状は"boringbiopsy"により粘膜下部の腫瘍組織を生検し,術前に銀好性B型カルチノイドの診断を得ることができた.術後検索で中心臍状陥凹部に一致して粘膜の下部に小さな原発部を確認しており電顕的には球状内分泌顆粒を証明した.

座談会

肺癌—治療成績向上のために

著者: 青木国雄 ,   林豊 ,   於保健吉 ,   米山武志 ,   市川平三郎

ページ範囲:P.1280 - P.1292

 増加傾向にある「肺癌」に対して,その病態解明はもとより,疫学,病理,そして臨床の各方面から真摯な研究が続けられている.今回お集まりいただいた諸先生はいずれもこの領域におけるエキスパートであり—治療成績向上のために—と銘うつたこの座談会は,読者代表としてご司会いただいた市川先生の好リードもあつて,肺癌研究,治療の現在地を知る恰好のお話し合いになつた.そしてこのお話し合いの中から着実な進歩の跫音をお聞きいただければ幸甚である.

Topics

肺癌—新しい診療のポイント

著者: 末舛恵一

ページ範囲:P.1293 - P.1297

領域リンパ節の部位と命名
 国立がんセンターでは,1970年までの症例の切除例の清掃した肺外リンパ節と肺内リンパ節の病理学的な検討から(図1)に示す如き部位の分類と命名を行なつた.
 この図は,TNMのAmerican JointCommitteeでも応用されている.

Spot

病理からみた肺癌—治療成績向上のために

著者: 林豊 ,   大和田英美

ページ範囲:P.1298 - P.1299

肺癌の基礎的な2,3の問題
 予防医学的に社会環境が改まつてきた時代から,結核が減少した歴史にみるように,肺癌も,特効的な治療法ができる以前に環境を改めることがその発生を激減させるものとは思えない.しかし,環境因子についての対策も,当然,治療の1つと考えられる時代に私どもはあると思われる.環境に存在している種々の発癌物質が単一,微量で癌をつくらなくても,それらのいくつかの因子が重なつた際のことについては未知の問題が多く残されている.例えば,病理学的な裏付けはされていないが,石綿に曝された喫煙者が,それら2つの要素を欠く人の92倍も肺癌発生の危険性をもつとするSelikoffの統計的なデータも無視できない.他の専門領域の結果に対応した,病理の立場からの追求が必要であろう.
 生体側の問題としては,癌を生じ易くするような肺内の変化についての知識も漠然としたものである.人の気道上皮に前癌状態とよべるような変化を早期発見の目的で認め得る機会は,子宮などとは異なつて稀である.まして,胃のポリープの一型や,輪状肝硬変のような強い意味での前癌状態として明確にされた変化が現実にはない.もつとゆるやかな意味で,古典的ではあるが瘢痕のあるものの辺縁からの発癌があると推定されている.瘢痕の部分での発癌物質の畜積や,循環障害,低酸素状態などが関連するものとされている.しかし,このいわゆる瘢痕癌についての実証は未だ乏しく,私どもも目下追求中である.一種の前癌状態を明らかにするこは,肺癌の予防の上からも重要なことと思われる.

Practical Postgraduate Seminar・7

術前・術後・3:特殊な状態での管理―肝機能に異常がある場合

著者: 吉田奎介

ページ範囲:P.1302 - P.1307

主な内容
肝障害例における手術適応はどうか肝硬変症例の術前・術後管理閉塞性黄疸症例の術前・術後管理術後肝不全とその処置をどうするか

臨床研究

死体腎移植術後早期の管理と経過

著者: 落合武徳 ,   雨宮浩 ,   渡辺一男 ,   宮島哲也 ,   坂本薫 ,   林良輔 ,   佐藤博 ,   岩崎洋治 ,   横山健郎 ,   柏原英彦 ,   大森耕一郎

ページ範囲:P.1309 - P.1313

はじめに
 腎移植は1975年1月までにアメリカのNIHに登録された症例数が23,000例を超え1),わが国においても1976年6月末までに679例を数えた.諸外国をみるとオーストラリヤでは腎移植手術のほとんどが,カナダでは85%,アメリカでは65%が死体から腎の提供をうけて移植する死体腎移植であるのに比べて1),日本で行なわれた死体腎移植の総数は74例で,これは腎移植総数のわずか11%である.日本では脳死の状態で移植のために臓器を摘出することに対して社会的に抵抗があり,アメリカで行なわれているようなbeating heartの状態での腎臓摘出ができない.そのために移植腎がacutetubular necrosis(ATN)となって移植後の腎機能の発現が遅延する症例が多い.ATNのために移植腎から利尿の得られない時期の術後管理は,移植直後から利尿の得られる生体腎移植の場合とは異なつた配慮が要求されるし,ATNの少ないアメリカなどの死体腎移植よりも管理がむずかしい.われわれが最近10年間に行なつた42例の死体腎移植の経験からATNのために腎機能が低下している術後早期の管理の問題点について検討した.

急性硬膜下血腫の激症型—超急性硬膜下血腫peracute subdural hematomaについて

著者: 平田輝昭 ,   佐々木亮 ,   柳橋萬之 ,   土田富穂 ,   早川勲

ページ範囲:P.1315 - P.1319

はじめに
 急性硬膜下血腫の治療,予後については,これまでにも多くの報告がなされている.
 術後の生存率についてみると,1940年代には,17%(Laudig5)),18%(Browder1))であつたものが,1970年代になると,25%(Richards11)),32%(Talalla12)),55%(Fell2))といくぶん上昇しているかの如くみえる.

臨床報告

同時多種ホルモン産生を伴ったZollinger-Ellison症候群の1治験例と本邦の報告例の検討

著者: 高見博 ,   阿部令彦 ,   中川自夫 ,   田代征夫 ,   山近勝美 ,   阿部薫 ,   亀谷徹 ,   安達勇

ページ範囲:P.1321 - P.1327

はじめに
 近年のgastrinのradioimmunoassay法の普及とともに本症の確実な報告例も増加しているが,腫瘍中のgastrin値の測定および螢光抗体法によりgastrin含有細胞を証明し,かつホルモン分泌動態をを検索した症例は極めて少ない.われわれはZollinger-Ellison症候群(以下ZES)を疑い,初回の手術でgastrin値が正常化し,腫瘍の免疫組織化学および同時多種ホルモン産生の有無について検討したZESの1治験例を報告するとともに本邦の報告例を中心に診断基準,手術術式と予後につき検討した.

胃海綿状血管腫の1治験例

著者: 中山真一 ,   松坂俊光 ,   古賀俊六 ,   児玉好史 ,   朔元則 ,   副島一彦

ページ範囲:P.1329 - P.1333

はじめに
 胃に発生する非上皮性腫瘍のうち脈管系の腫瘍は比較的稀とされており1-4),とくに血管性腫瘍はわれわれの調査しえた限りでは,本邦では44例の報告をみるにすぎない.最近,吐血を主訴として来院した患者で胃海綿状血管腫と診断された症例を経験したので,本症例についての詳細について報告し,あわせて若干の文献的考察を加えてみたい.

小児馬尾神経腫の1手術治験例

著者: 森山隆志 ,   三田禮造 ,   鈴木重晴

ページ範囲:P.1335 - P.1339

はじめに
 いわゆる脊髄腫瘍は決して稀なものではないが,それを15歳以下の小児期に限ると成人の10%程度とも言われ.比較的少ないようである.われわれは最近6歳7ヵ月の男児の硬膜内髄外腫瘍,即ち馬尾神経神経鞘腫を経験し,摘出,治癒せしめたので,小児脊髄腫瘍本邦報告例の渉猟を行ない,文献的考察を加えて報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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