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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻10号

1977年10月発行

特集 肺癌—新しい診療のポイント

気管支・気管成形術の適応と手技

著者: 石原恒夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.1247 - P.1252

文献概要

はじめに
 気管支成形術は気管支の病変部より末梢にある肺組織の機能を温存するためにはじめられたものであり,わが国では初期には結核性の気管支狭窄の治療に多用されていた.その後,この手術の臨床的な価値が理解されるに及んで,肺癌の治療にも用いられるようになり,肺癌の手術適応はある意味で拡大した.機能的に一側肺全切除が不可能な症例に対する根治的なsleeve lobectomyはこの術式の真価を示すものである.また,かりに一側肺全切除が機能的に可能であつても,気管支成形術の適用により健常肺を温存することができれば,術後の回復にいかに有利であるかは今更力説するまでもない.さらにまた,従来の術式によれば気管分岐部あるいは気管下部にまで浸潤した肺癌は一側肺全切除によつても癌病巣を完全に摘除することはできなかつた.しかし,このような症例の中にも,気管や気管分岐部を切除した後の気道の再建の問題が解決すれば,根治的に癌病巣を切除できるものが含まれている.
 西欧では肺癌に対する気管支成形術の歴史は古いが,本邦においてはその歴史は浅い.最近漸くこの術式が普及し,気管支成形術によつて治療された肺癌症例は増加してきている.本稿においては肺癌に対する気管支成形術の適応を述べ,われわれが行なつているこの手術の代表的な手技をしるした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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