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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻10号

1977年10月発行

文献概要

特集 肺癌—新しい診療のポイント

肺癌手術と患者管理

著者: 仲田祐1 川上稔1

所属機関: 1東北大学抗酸菌病研究所外科学部門

ページ範囲:P.1273 - P.1279

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はじめに
 手術療法の成績向上のために重要なことは,肺癌患者の「早期発見」と「早期手術」に尽きるわけであるが,現実問題として,進行した肺癌患者を多く治療しなければならない現段階においては,手術術式の改良や手術と放射線療法,化学療法の併用により,術後の再発,転移の防止に努めることであろう.もう一つ肺癌手術成績向上のために閉却してはならないことは,肺癌患者はあらゆる予備能力が低下しているので,術後偶発症や合併症によつてたおれる症例(早期死亡)を減少せしめることも重要な対策である.肺癌手術は高齢者を対象とすることが多く1),かかる高齢者の肺は加齢による機能低下がすでに基盤にあるので,担癌肺(葉)を切除すると,残存肺の予備力は極端に低下した状態となる.肺は,いわゆるvitalorganであり,肺切除後の肺機能低下は,胃癌あるいは乳癌手術後の胃あるいは乳腺の機能喪失とは,全身に及ぼす影響は本質的に異なることを念頭におかなければならない.このような理由から,肺癌患者の管理として,術前には,一般の外科手術予定患者と同様,心血管,腎,肝,血液成分,電解質等の諸機能検査が必要であることは論をまたないが,特に大切なことは肺機能の的確な把握であろう.ここでは,肺癌手術と関連した術前管理,術前の肺機能評価,患者管理上留意すべき術中の処置,術後の管理等について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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