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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻11号

1977年11月発行

特集 Biopsyの再検討

下部消化管の生検

著者: 長廻紘1 佐々木宏晃1 三輪洋子1 河野秀親1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器内科

ページ範囲:P.1361 - P.1376

文献概要

大腸の生検
 大腸の生検は特別な場合を除いて,内視鏡(直腸鏡,コロノスコープ)で生検部位を観察しつつ行なう直視下生検である.すなわち生検所見は肉眼所見を補う,あるいは肉眼所見と併せて一人前であり,生検だけが独立して成り立つものではない.生検の主目的は診断である.しかし大腸疾患のうちで大きなウェートを占める炎症性疾患では特異的な組織像を欠くこともあつて,生検所見は副次的なものにすぎない.腫瘍の場合はねらつた場所から組織が採取されれば,確定診断といつてよい所見が得られ,生検の意義は極めて大きい.ただし生検をまつまでもなく,大部分の症例では肉眼所見で診断がつくし,腫瘍の大部分を占めるポリープは内視鏡的ポリペクトミーによつて診断と同時に治療まで完了してしまう現況である15)
 満足すべき生検を行なうには内視鏡の挿入技術(とくにコロノスコープを深部大腸まで挿入するには熟練を要す)に修熟するとともに,大腸疾患に対する十分な知識をもつことが要求される.内視鏡の挿入法に関しては他にゆずり1),生検の方法および各種疾患における生検の役割と意義について述べる.なお大腸の生検といえば鉗子生検を意味することが多いが,吸引生検もとくに粘膜下組織が診断に重要なCrohn病などで用いられることがある.その原理は小腸の項でのべる.ポリペクトミーについては紙数の都合で割愛する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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