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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科32巻12号

1977年12月発行

雑誌目次

特集 目でみる話題の消化器手術

腸管吻合器を使用した食道静脈瘤に対する経腹的食道離断術

著者: 遠藤光夫 ,   小林誠一郎 ,   高崎健

ページ範囲:P.1493 - P.1498

この手術の意義と適応
 食道静脈瘤に対する外科治療はその意図する処から考えると,門脈圧を下降させることにより食道静脈瘤を軽減させようとする門脈圧減圧手術(門脈下大静脈吻合,脾腎静脈吻合など),食道静脈瘤の血流のみを選択的に大静脈系へ誘導しようとする選択的減圧手術(左胃静脈下大静脈吻合,遠位脾腎静脈吻合),そして食道静脈瘤と門脈系との連絡路をすべて遮断しようとする直達手術に大別される.そして直達手術のひとつとして食道離断術があるが,血行遮断の考え方の違いより,経腹的方法と経胸的方法とが行なわれている.我々は食道静脈瘤と門脈系との連絡路をすべて横隔膜の高さで遮断しようという目的で経腹的食道離断術を行なつており,腹部のみでの血行廓清と同時に腹部食道での離断,再吻合を腸管吻合器を用い,クリップ縫合で行なつている.食道は本来,門脈血領域の臓器ではなく,食道動脈により栄養され,食道静脈より奇静脈系に環流しているわけであるが門脈圧が上昇するに従い,胃噴門領域の静脈は拡張蛇行し食道静脈と大きな連絡を持つようになり,食道壁内,壁外での多数のネットワークを持ちつつ胸部食道へと伸展してゆき肝外性副血行路のひとつとなるわけであるがこの肝外性副血行路としての役割は大きなものではない.これらの血行路はその起源を大別してみると左胃静脈系副血行路,脾静脈系副血行路,そし胃壁内を上行する壁内系副血行路の3つに分けて考えることができる.我々の術式はこれらのすべてを横隔膜の高さで遮断し縦隔内へ門脈血が上昇しないように腹部より食道裂口周囲から上行する左胃静脈系,脾静脈系の血行をすべて廓清すると同時に壁内系血行路遮断のため裂口部にて腹部食道の離断,再吻合を行なうわけであるが,この部は解剖学的位置が悪いうえ,静脈瘤を持つた食道壁は多少組織が脆弱であるためこの部での縫合操作は必ずしも容易ではない.そこでこの離断再吻合に腸管吻合器が威力を発揮し容易にしかも確実に行なうことが可能となり,多くの利点を持つた方法である.現在まで48例に本手術を施行しているが,初期の症例中には静脈瘤が完全に消失せず軽度に残存したものがあり,内2例に再吐血が見られている(内1例は肝癌発生を見た症例)が,これらは食道離断部の静脈瘤が再開通したものではなく周囲血行廓清に問題があつたものと反省している.縫合のクリップは組織内に埋没し,脱落してこないわけであるがこれが異物となり周囲に厚い肉芽形成を有することは静脈瘤再開通を妨げているという良い面もあろうと考えられる.

Selective Proxymal Vagotomy without Drainage Procedure

著者: 大野博通 ,   中村哲彦 ,   北原哲夫

ページ範囲:P.1499 - P.1504

この手術の意義と適応
 Selective proxymal vagotomy(SPV)は,胃壁細胞領域の脱神経により減酸効果を得る一方,迷走神経の肝枝,腹腔枝のみならず,胃前庭部の神経支配をも温存することにより,種々の迷切後障害を防止するとともに,胃運動機能の障害を最少にしようとする術式である.
 この術式には,幽門形成術などの誘導術を付加する場合(SPVcD)と,付加しない場合(SPVsD)があり,後者を理想とするが,手術適応となる十二指腸潰瘍には狭窄例も多く,すべての症例にSPVsDを適用することはできない.したがつてSPVsDは,あくまでも厳密な適応基準のもとに,症例を選択して施行すべきである.

内視鏡的乳頭括約筋切開術

著者: 相馬智 ,   小野美貴子

ページ範囲:P.1506 - P.1512

この手術の意義と適応
 遺残胆道結石を非手術的に摘出する方法は古くから試みられてきたが,いずれも外胆汁瘻のあるものについてである.十二指腸ファイバースコピーの発達に伴い,経内視鏡的に乳頭を切開して結石を摘出せんとする願望は当然の事ながら起こつた.1973年には動物実験の基礎をもとに臨床例の成功がそれぞれ独自の方法で,川井,Classen,相馬により報告された.1974年第3回世界内視鏡学会では,上記三者にKochが加わり方法論,有用性,適応,合併症について論じられた.以来世界各地で本法は積極的に行なわれ現在までに1,000例を越える臨床例の報告がある.
 本法に対する名称は統一されておらず,ヨーロッパ勢はendoscopic papillotomy(EPT)とよび,川井はendoscopic sphincterotomyと称し,私は括約筋を十分切開するという意味をこめてendoscopic sphincteropapillotomyと呼称している.いずれにせよ,いずれも切開口は1.5〜2.5cmと十分なbiliary drainageをうる事を目標としている.

難治性大量腹水に対する腹腔・大静脈(P-V)シャント

著者: 樋上駿 ,   池永達雄

ページ範囲:P.1513 - P.1519

この手術の意義と適応
 薬剤投与などの内科的治療でコントロールできない大量の腹水貯溜は患者に大きな苦痛を与える.外科療法では,門脈圧亢進症に対する門脈大静脈吻合をはじめとするshunt手術,大網腹壁固定,Hepatopexyなどがあるが,poor risk患者には適さない.胸管drainage1)も持続的な腹水貯溜には適さない.
 腹腔穿刺は比較的簡単で危険の少ない処置である.しかしそれが頻回になると,大量の蛋白質や電解質を失い,患者の消耗度は少なくない.よつて穿刺吸引した腹水を静脈に戻す方法2,3)があるが,長期にかつ頻回に行なうには困難を伴い,感染の機会なども多くなる.そこで持続的に腹水を腹腔内から腹腔外へ誘導する方法が種々試みられている.皮下4),腎盂5),静脈などへの誘導であり,それぞれ一長一短がある.ある種の器具を装着して腹腔と静脈にshuntを作成する方法は,poor riskの患者には,微小な侵襲で行なえるという点で,最も適した手術であり,1910年頃より試みられたが,血塊によるtubeの閉塞により成功しなかつた.しかし1962年Smith6)が肝硬変の1例に,水頭症患者の脳室drainageに用いるone-wayのHolter valveを装着して初めて成功した.この方法または変法が,Matthews7),Hyde8,9),Mortensonら10)により追試され,有効性が証明された.その後,高橋ら11)はglass fiberを,Leveenら12,13)は動物実験を基礎に独自に開発したvalveを使用して優秀な成績をおさめている.

広範囲肝切除の基本手技

著者: 長谷川博 ,   山崎晋 ,   三輪潔

ページ範囲:P.1521 - P.1527

皮切と開創—麻酔医の位置からhepatic domeがみえる切り方
 ○この切開の3大特徴は,1.手術視野がよい.2.非開胸である.3.術後腸麻痺が少ない の3点である.
○高位横切開の皮切は,遊離肋骨の上で加える(臍下に達する巨大腫瘍でもこの高さで)

直腸癌に対する低位前方切除術

著者: 安富正幸 ,   松田泰次 ,   安積奎三 ,   𠮷川守

ページ範囲:P.1529 - P.1533

この手術の意義と適応
 前方切除術は,肛門括約筋保存直腸切除術の1つの術式であつて,経腹的に直腸切除と吻合を行なう術式である.前方切除術のうち,腹膜反転部より肛門側つまり腹腔外直腸で吻合が行なわれるものを,低位前方切除術と呼んでいる,この低位前方切除術が本文の主題である.高位前方切除術に比べ低位前方切除術は直腸の切除領域が広いので対象となる直腸癌が多くまた癌の根治性も高い,しかし,手技がやや難しく,術後合併症が多いことが難点であつた.一方,前方切除術は,各種の肛門括約筋保存手術のうち術後の排便機能が最も優れており,ほとんど正常の排便機能がえられる.
 肛門括約筋保存手術の癌根治性の根拠は,大部分の直腸癌は肉眼的には限局型の癌であり,組織学的にも分化型腺癌であることのほか,上部直腸癌では癌腫より肛門側にあるリンパ節への転移は極めて稀であること,また癌腫の肛門側への壁内浸潤も極めて少ないことなどである.

経括約筋的直腸腫瘍切除術

著者: 土屋周二

ページ範囲:P.1535 - P.1541

この手術の意義と適応
 経括約筋的直腸手術transsphincteric surgery of the rectumは,はじめ直腸癌の局所切除を行なう目的でCripps(1880),Bevan(1917)らが行なつた方法といわれるが,近年では英国のY. Masonが多くの直腸病変の局所切除に盛んに行なつて報告している.その要点は,肛門から旁尾骨部にかけて切開を加え,皮膚,肛門挙筋,内外肛門括約筋,骨盤筋膜を切離し,さらにつづいて直腸壁を大きく切開して内腔をひらき,直視下に広い手術野で直腸病変を十分に切除することである.切除後は各層を順次縫合して創を閉鎖すれば.括約筋を全部切つても癒合して,あとに著しい肛門直腸機能障害がほとんど起こらないことがわかり,本法の応用価値が大きいことが認められたわけである.
 最近多くの直腸病変が発見されているが,臨床的に明らかな進行癌であるもの以外は,その治療方針をきめるのが困難なことが少なくない.とくに粘膜または粘膜下層にとどまるいわゆる早期癌(m,sm)については,癌であつても直腸切断術を必ずしも要しないことがわかつて来た現在,隆起性病変の良性,または悪性を決め,悪性であればその深達度,組織像,とくに分化の程度,脈管浸潤などを明らかにして治療方針をきめることが望まれる.この目的には一部分の生検では不十分のことが多く,腫瘤を周囲組織や直腸壁の深層とともに全切除してしらべる必要がある.この際ポリペクトミーの容易な有茎性病変や,経肛門的に簡単に切除できる肛門縁に接した小病変を除き,本手術を用いて完全に切除するとよい.m癌や良性疾患とわかり,完全に切除できたと判明したら.これで治療も完了する.sm癌であれば根治手術を加えるか,十分観察をつづけることを条件にすぐにはこれ以上切除を加えないかを,組織所見や患者の全身状態などを参考にきめることになる.とくに大型の隆起性病変,たとえば絨毛状腺腫などの摘出は本法のよい適応となる.このほか本法の原理は他の多くの直腸手術にも応用される.たとえば開腹による直腸切除後,直腸下端と口側結腸の吻合を本法により直視下に行なつたり,前立腺直腸瘻の修復に用いたりできる.なお,肛門管より口側の病変に対しては,肛門管,肛門括約筋,恥骨直腸筋は切離せずに行なう経仙骨的手術も価値が大きく,これについても簡単に紹介することにする.

ヒルシュスプルング病のMartin手術

著者: 梶本照穂 ,   中村紘一郎

ページ範囲:P.1543 - P.1548

この手術の意義と適応
 意義 近年のわが国におけるヒルシュスプルング病の治療成績は,めざましく向上しており特殊な合併奇型や合併症を有していない症例においては,ほとんどが満足な機能的予後をえて社会生活を送つているものも多い.しかし特殊な病型としてのentire colon aganglionosis, extensive aganglionosisにおいては,腸管の運動機能よりも消化吸収の問題解決の方がより重要な治療目的となるのである.「aganglionic colon segmentは消化吸収の面では利用するに足るのか?,そうであれば如何なる方法で利用したらよいか?」が多くの小児外科医の関心事であつた.
 1968年Martin1)は全結腸と小腸の約1/2に及ぶaganglionosisの症例に対して,新しい術式を創案して成功したことを報告し注目をあびた.その骨子は肛門側大腸を温存してこれを小腸と側々吻合し,残存結腸に水分の吸収を担当させ小腸による運動性でもつて腸管としての機能の両面を維持させるところにある.以来日本でもこの術式は数施設で種々の工夫がなされ,modifyした型で試みられている.私どもが調べ得たところでは,10例の施行例のうち7例が救命されている.教室においては,1975年以来3例の経験を有しており,全例救命しているのでこれらの経験から術式について私どもの工夫も交えながら述べる.

Continent Ileostomy(Kock)の作成法

著者: 中野春雄

ページ範囲:P.1549 - P.1552

この手術の意義と適応
 Ileostomyに関しては,これまで手術手技や装着器具についていろいろな工夫改善がなされてきており,また潰瘍性大腸炎のような長期にわたる惨めな病悩期間を体験した患者ではileostomyに結構適応するものとされているが,まださまざまな欠陥を有している.たとえばその最たるものはskin irritationで,文献によればileostomyの患者の26〜70%にみられるという.また装着器具の接着剤の問題,便を常に体外の袋の中に入れてぶら下げて生活しているということに由来する心理的,社会的,更には性生活上の諸問題などがあげられる.こうした在来のconventional ileostomy(Brooke)の欠陥を補うべき新しいileostomy――"continent ileostomy",または"reservoir ileostomy"――の手法がスェーデンのKock教授によつて1969年に発表され,その後,彼によつてさまざまな工夫改良が加えられ,彼個人の症例数も1973年にはすでに90例に達している.以来continent ileostomyは欧米の斯界で急速に注目を浴び,いくつかの大施設からの報告も重ね,1975年カリフォルニアで行なわれた大腸直腸外科学会のシンポジウムでもとりあげられるに到つている.
 Continent ileostomyの主眼点は,①reservoirを有すること,②nipple形成によるvalvemechanismをもつという2点で,reservoirは術後速かに十分な容量をもつに到り,頻回なカテーテル挿入による排泄の要なく,nipple形成によつて腸内容の漏出を完全に防ぎ,conventionalileostomyの大きな欠陥である厄介なapplianceは不要で,skin irritationの問題もないのみならず,社交,スポーツへの積極的な参加を可能ならしめ,また性生活もconventional ileostomyに比して快適であり,特に未婚の男女にとつては考慮されてよい手技ではないかと考える.Kock教授は,conventional ileostomyからcontinent ileostomyへの転換を行なつた患者についての調査で,一見よくconventional ileostomyに適応していると考えられていた患者が,どれ程深刻な影響を受けていたかについて述べている.

カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・29

急性胃潰瘍—幽門部

著者: 高木国夫

ページ範囲:P.1490 - P.1491

 近年胃の急性病変,とくに急性ビランや急性潰瘍について非常に関心がもたれてきている.従来は,胃痛に対して,対照療法により,疼痛の消失した時期に検査を行なうことが多かつたが,突然の胃痛の時期に検査とくに内視鏡が行なわれて,胃内のはげしい変化が知られてきたことが1つの要因である.とくに,幽門前庭部に発生する潰瘍は,いわゆる消化性潰瘍とは,潰瘍の形態分布が異なつており,幽門前庭部の多発性潰瘍は幽門前庭部の前後壁に対称性にみとめられることが多く(図①)急性対称性潰瘍といわれてきている.
 この急性潰瘍の経過は,急激な上腹部痛で発症し,発症直後には,X線写真(図②)では幽門前庭部の狭小化と共に,内視鏡所見では,幽門前庭部に大小不同の黒色の出血性ビランと幽門部の狭小を示す(図③).数日後には,点状,線状出血性ビランは瘢跡をとどめないで治癒するか,地図状の出血性ビランは,白苔を有する陥凹性病変となり,粘膜ひだの集中を伴う潰瘍(図④)となり,幽門部の狭小化も消失して,発症後1ヵ月前後には瘢痕化して治癒する.

鼎談

消化器外科の基本手技

著者: 陣内傳之助 ,   井口潔 ,   秋山洋

ページ範囲:P.1554 - P.1569

 "消化器外科の基本手技"という一見茫洋としたテーマを起用したのは決して突飛なことではない.本特集"話題の消化器手術"の全ては実にこの基本手技の礎上に築かれるものであろうことは他言を要しないし,今回お話合いいただいた3人の先生方は,いずれも消化器外科領域のエキスパートであり,最近とみにその隆盛を嘔われる手術手技研究会の主力メンバーでもある.紙数の制限からその多くを割愛せざるを得なかつたのは残念であるが,積年の研鑚の中から如何に多くの地道な訓練,工夫がなされてきたか,その一端を開陳していただいた.この鼎談の紙背に在るもの,さらに研鑚に余念のない出席者の姿勢に"外科医は如何に在るべきか"を彷彿としていただければ幸甚である.

Spot

電気メスはなぜ切れるか—筆者らの考え方

著者: 相馬智 ,   小野美貴子

ページ範囲:P.1573 - P.1576

はじめに
 "電気メスが何故切れるのか?"という質問に対して,愚問だと一笑に付してしまう人とそうでない人と2通りあるだろう.
 1928年Bovieが高周波による最初の電気メスを発明して以来,世界中の外科医は当然のこととして使用している.しかし電気メスが凝固能と切開能を有する現象ははつきりしていながら,凝固能はともかく,切開に対する理論的裏付けの確固たるものはない.経内視鏡的に電気メスを使用するにあたり筆者らは疑義をもち,この命題に挑戦することとなつた.問題提起として御追試・御批判をいただきたい.

臨床研究

胆嚢良性腫瘍性病変の臨床病理学的検討と癌化の問題

著者: 岡島邦雄 ,   木林速雄

ページ範囲:P.1577 - P.1582

はじめに
 胆嚢に発生する腫瘍性病変のうち,癌腫についての報告は多いが良性腫瘍は比較的まれとされ,摘除胆嚢の1%前後と報告されている1)
 私たちは最近2年間の摘除胆嚢症例中,良性腫瘍性病変13例を経験したので癌化の問題も含め臨床病理学的検討を加え,さらに本邦の胆嚢腺腫102例についても若干の検討を加えた.

臨床報告

先天性胆管拡張症に癌の発生した症例および先天性胆管拡張症16例の経験

著者: 小野典郎 ,   岡田康孝 ,   角谷冨男 ,   福井亨 ,   岡田清文 ,   雲井康晴 ,   西村正 ,   小原秀一 ,   田中勲

ページ範囲:P.1583 - P.1588

はじめに
 先天性胆管拡張症については,症例報告やその原因,分類,治療などに関する内外論文は既に多数にのぼつている.本症が先天性疾患であることはほぼ異論がなく,若年者に多くみられる疾患であり,型としては総胆管の嚢胞性拡張型が大多数を占めることも一般的に認められている.
 最近になつて,その拡張が総胆管に限らず,時には肝内胆管にも存在するという報告がみられるようになつたが,この型は成人例に多いようである.

同一家系にみられた散在性大腸ポリポージスの2例

著者: 井上勝六 ,   宮川勝馬

ページ範囲:P.1589 - P.1592

はじめに
 家族性大腸ポリポージスは,比較的まれな疾患であるが,その癌化率の高いこと,濃厚な遺伝的素因を持っていることから特異な疾患として注目され,最近その報告例が増加している.ふつう家族性大腸ポリポージスのポリープは,大腸のほとんどにびまん性に発生するが,われわれはポリープが散在性にみられた同一家系内の2例を経験したので報告する.

胆嚢癌を合併した成人型先天性胆道拡張症の2症例

著者: 松永章 ,   田中隆 ,   山本秀雄 ,   友田信之 ,   小林重矩 ,   篤永荘司 ,   中山和道 ,   古賀道弘 ,   二又義夫 ,   小金丸道彦

ページ範囲:P.1593 - P.1596

はじめに
 われわれは過去約12年間に15例の先天性胆道拡張症を経験したが,最近成人型胆道拡張症に胆嚢癌を合併したきわめてまれな症例を相ついで2例経験したので,若干の文献的考察を加えて報告するとともに,癌発生の誘因とその治療上の問題点にもふれてみたい.

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「臨床外科」第32巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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