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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻12号

1977年12月発行

文献概要

特集 目でみる話題の消化器手術

直腸癌に対する低位前方切除術

著者: 安富正幸1 松田泰次1 安積奎三1 𠮷川守1

所属機関: 1近畿大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1529 - P.1533

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この手術の意義と適応
 前方切除術は,肛門括約筋保存直腸切除術の1つの術式であつて,経腹的に直腸切除と吻合を行なう術式である.前方切除術のうち,腹膜反転部より肛門側つまり腹腔外直腸で吻合が行なわれるものを,低位前方切除術と呼んでいる,この低位前方切除術が本文の主題である.高位前方切除術に比べ低位前方切除術は直腸の切除領域が広いので対象となる直腸癌が多くまた癌の根治性も高い,しかし,手技がやや難しく,術後合併症が多いことが難点であつた.一方,前方切除術は,各種の肛門括約筋保存手術のうち術後の排便機能が最も優れており,ほとんど正常の排便機能がえられる.
 肛門括約筋保存手術の癌根治性の根拠は,大部分の直腸癌は肉眼的には限局型の癌であり,組織学的にも分化型腺癌であることのほか,上部直腸癌では癌腫より肛門側にあるリンパ節への転移は極めて稀であること,また癌腫の肛門側への壁内浸潤も極めて少ないことなどである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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