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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科32巻2号

1977年02月発行

雑誌目次

特集 腹部手術後の輸液—私はこうしている

術後代謝からみた輸液

著者: 谷村弘 ,   日笠頼則

ページ範囲:P.157 - P.165

I.腹部手術後の体内代謝
 腹部手術の術後には絶食と手術侵襲という2つの影響が重なりあつた代謝異常状態が現出されることになる.
 単なる絶食によつても体蛋白の崩壊,脂肪の酸化促進,水分・電解質の排泄減少といつたことが惹起せしめられ,そのような際には少量の糖質補給ですでにそこに著明な蛋白の節約作用が喚起され,体蛋白の減少は防止され,新しい組織の合成に向つて直ちに作用することになる.

消化器手術後の輸液

著者: 小野寺時夫

ページ範囲:P.167 - P.174

はじめに
 消化器手術は,術後の輸液に関連するいくつかの特徴がある.i)単なる摘出や切除などと異なり.消化器の再建を伴うことが多い.ii)したがつて,術後一定期間経口摂取が不可能で,経口摂取が可能になつても徐々に増量する必要があるため,経口栄養が十分できるまで日数を要する.iii)消化器の手術を要する患者は,原疾患に起因して栄養障害を伴つていることが多い.このことは吻合不全などの危険な合併症の発生に連なる.iv)胃液吸引や外瘻造設のため消化液の異常喪失を伴うことが多い.
 以上の特徴から,消化管術後の輸液は,一般の術後輸液より水分・電解質バランスに注意を要し,輸液施行期間も長くなり,また単に水分,電解質投与のみならず,同時に栄養補給を行なうことが重要である.

消化器手術後の輸液

著者: 岩渕真 ,   桑山哲治 ,   松原要一 ,   大沢義弘 ,   武藤輝一

ページ範囲:P.175 - P.181

はじめに
 消化器手術後の輸液は水分・電解質輸液と栄養輸液の2つに大きく分けることができる.前者は生体が正常な代謝を営むために必要な水分,電解質を投与するとともに手術侵襲による水分,電解質代謝の異常を補正する目的で行なわれ,後者は侵襲より生体が回復するためのエネルギーと創傷治癒のために必要な栄養の補給をする目的で行なわれる.
 手術侵襲が小さく術後の絶食期間が短い場合には前者のみを問題とすればよいが大手術侵襲や術後の絶食状態が長く続く症例では両者が問題となつてくる.特に術前低栄養状態にある患者に手術を行なうときには術後の栄養輸液の意義は大きく,最近ではこのような患者にはすすんで高カロリー輸液が行なわれている.

穿孔性腹膜炎・イレウス手術後の輸液

著者: 岡田正

ページ範囲:P.183 - P.187

はじめに
 消化器外科手術は,各種診断および治療技術の著しく発達した今日,ほとんどの施設において日常茶飯事の如くに行なわれている.ところが急性腹症,なかでも穿孔性腹膜炎あるいは絞扼性イレウスなどで来院し緊急手術を受ける患者の中には一般状態の改善を見ず,重篤な経過を辿りそのまま不帰の転帰をとる場合もなお少なからず見られる現状である.最近このような急性腹部疾患における病態生理,殊に体液の分解異常が注目され種々の角度より検討されている.そしてこのような病態時における適正な体液管理こそが患者の予後を左右する大きな因子として認識されている.本稿では穿孔性腹膜炎,あるいは絞扼性イレウスの患者が来院した場合著者らが教室にて実際に行なつている輸液管理を紹介し御批判を仰ぎたい.

腎障害を伴う場合の腹部手術後の輸液

著者: 小越章平 ,   小高通夫 ,   碓井貞仁 ,   相馬光弘 ,   坂本昭雄 ,   山室美砂子 ,   入江氏康 ,   小出義雄 ,   野村庸一 ,   田畑陽一郎 ,   小林弘忠 ,   佐藤博

ページ範囲:P.189 - P.195

はじめに
 腎障害といつても発生機序はさまざまで,障害されている部位,程度によつて病状はいろいろあることはいうまでもない.したがつて,それに対する管理の方法も変つてくることは当然である.しかし,実際に消化器外科を標傍しているものでも,腎障害を伴う症例に手術侵襲を加えなければならないことや,また手術後に腎不全を起こし治療を迫まられることはけつしてめずらしくはない.腹部疾患,頻回の嘔吐などにより腎障害を起こすものや,逆に消化性潰瘍のごとく,腎機能不全のためますます悪化し,出血等のために緊急手術をしなければならないなど日常多く遭遇する.最近話題にされているnonoligulicあるいはhighoutput renal failure1),すなわち尿量が1,000ml前後ありながら臨床的には急性腎不全の症状を呈するものは,ここではふれず,一般的な腹部手術前後にみられるoligulicの障害のあるものについての管理をとりあげる.oligulic腎不全は,大きく分けて腎毒性のもの(nephrotoxic acute renalfailure)と虚血性のもの(ischemic renal failure)とがある.このうち腹部手術前後にみられるものは,脱水,不適当な水分電解質管理によるもの,あるいは多量出血による虚血性の範疇に入るものが多いが,腎毒性のものとして造影剤,代用血漿製剤,抗生物質,その他の腎毒性薬物によるものがある.その他に両者を加味したようなものもあり,高齢者,極度の衰弱患者,癌悪液質,副腎皮質不全などにみられる腎障害もある.われわれの教室では腎不全患者に対する血液透析あるいは腎移植を以前より行なつており,それぞれの分野で成績を上げているが,このような重症な腎不全患者の管理は,従来の発表にゆずり2-4),これらの経験を踏まえて日常よく経験する腹部手術後の腎障害を伴う患者の管理,とくに輸液の面について最近の高カロリー輸液もあわせのべる.

小児の腹部手術後の輸液—特に新生児・乳児の消化管術後輸液について

著者: 水田祥代 ,   池田恵一

ページ範囲:P.197 - P.204

はじめに
 一般に腹部手術といつても種々の症例があり,原疾患,手術方法,手術侵襲の程度および患児の術前の状態によつても,術後における輸液療法は異なるが,いずれの場合も大きく分けて術直後の短期間のみ行なう維持輸液と,長期間にわたつて栄養を投与するための栄養輸液とに分けられ,さらにこの間における異常喪失を補う補充輸液を含んでいる.
 本稿では,小児の腹部手術,特に新生児・乳児の消化管術後の輸液についてわれわれが日頃行なつていることを中心に述べる.

輸液の手技と装置

著者: 長谷川博

ページ範囲:P.205 - P.210

はじめに
 輸液の手技と装置は,医師個人の指先の技術つまり器用,不器用によつても変り,また,考え方によつても左右される.また一方,次々と現れる新しい器具装置は,医師ごとにまたは施設ごとに経済的な理由や偶然の出会いによつて採否が決まることが多い.つまり輸液の手技と装置には,主観的な理論や思考過程も関係する一方,偶然性がかなり大きく影響している.したがつて,本稿は,卒後20余年を経た一外科医が,その生来の物好き--細かい事への異常な興味によつて感じとった主観的個性的な考えをまとめたものであることをあらかじめお断りしておきたい.しかし著者は卒後20余年を経た今日でも,朝な夕な乳幼児の採血・輸液から成人の肝広範囲切除後の輸液に至るまで,著者1人で--いわゆるネーベンもなしに--プランを立て実際に針を刺す毎日を送つている.したがつて,このような特殊な環境にある者の主観的個性的な考え方は,読者に何らかの意味でお役に立つものと期待している.

カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・19

胃:メネトリエ病・リンホーム・スキルス

著者: 多賀須幸男

ページ範囲:P.154 - P.155

 巨大な粘膜襞を呈する胃疾患の鑑別診断と言う立場から内視鏡写真を選んでみた.メネトリエ病と呼ばれる病変は胃の粘膜層が肥厚して襞が脳回転をしのばせるほどになつた良性病変で,蛋白漏出性胃症を伴うことがあることと,悪性腫瘍との鑑別のうえから注目されている.どの程度以上粘膜襞が太くなつたらメネトリエ病と称してよいかはいつも問題になるが,典型的な例はごく稀である.良性巨大皺襞は胃体部大彎を中心としてみられるのが特徴で,それが前庭部や小彎上にみられた場合は他の疾患を考えねばならない.近接してよくみると皺襞の表面は軟らかいビロード様の印象の顆粒状ないし小区状を呈している.その表面にびらんがみられることもある図①.この様子はメチレンブルーなどの色素々撒布することで一層よくわかる図②.襞の間にはしばしば粘稠な粘液が附着しており,これと蛋白漏出と関連があるのではないかと思われる図③.
 巨大皺襞様の所見を呈する良性疾患として疣状胃炎がある.図④は前庭部にみられた巨大な襞で,一見すると癌の浸潤のごとくであるが,卵を呑み込んだヘビのごとき高まりの上の小びらんに注目すれば鑑別できよう.図⑤もX線的には巨大皺襞像を呈したが,胃全体に多発した疣状胃炎であることは,各隆起の頂点にあるびらんからわかる.

誌上シンポジウム

術前・術後輸液をどうするか

著者: 三村孝 ,   小越章平 ,   百瀬健彦 ,   柏崎修 ,   牧野永城

ページ範囲:P.212 - P.228

症例
 症例1 31歳,男(身長166cm体重55kg) 生来著患をしらなかつたが,過去5〜6年十二指腸潰瘍に悩まされ,上部消化管検査で十二指腸球部に変形がある.内科治療に一時は反応しても再発をくり返し,職業上生活が不規則なこともあって手術的治療をすすめられて入院.

トピックス

成分栄養法

著者: 小越章平 ,   碓井貞仁

ページ範囲:P.230 - P.232

"成分栄養"その沿革
 われわれが"成分栄養法"と呼んでいるelemental dietの研究の歴史は古く,Roseらのアミノ酸比率から立脚して,1957年はじめてGreesteinがchemically defined dietsという名称で,ラットの実験成績を発表した.その論文発表の2年後にGreenstein(1902〜1959)は没したが,その後Winitzらによつて研究が引き続けられ,chemical dietとして製品化が進められていた.この間にNIHも力を入れ,ロケットで有名なNASAの莫大な資金力が加わつて,栄養的なバランスがとれ,しかも低残渣のため宇宙飛行士達の食事としての応用化が進められた.これが宇宙食(space diets)とも言われるゆえんである.Winitz自身,技術担当の副社長としてVivonexという商品名で1969年に市販されたが,当初宇宙食あるいはウェイト・コントロール用のいわゆる美容食といつた観念がもたれていた.しかしこのchemical dietは,その後種々の生理的効果のために医療品として広い用途のあることがわかった.外科方面への応用で,はじめてelemental dietという名称を用いたのは1969年Stephensらである.
 経中心静脈高カロリー輸液〔hyperalimentation (I-VH)〕が,外科医Dudrickらによりはじめられ,基礎的研究の期間が短く,はなばなしい臨床効果が先立ったのとは対称的に,elemental diet (ED)は生化学者達の長い基礎実験後に臨床応用へと進み,現在ではIVHとならんで,特に米国とカナダで盛んとなつた.

臨床研究

経皮的胆管ドレナージの内瘻化に関する検討

著者: 安田秀喜 ,   高田忠敬 ,   内田泰彦 ,   福島靖彦 ,   今泉俊秀 ,   磯辺孝司 ,   金山成保 ,   斉藤明子 ,   小林誠一郎 ,   羽生富士夫

ページ範囲:P.233 - P.239

はじめに
 最近,閉塞性黄疸症例に対し,経皮的胆管ドレナージがルーチンの黄疸軽減処置として広く行なわれるようになり,それに伴い閉塞性黄疸の治療成績の著しい向上がみられてきた.しかしながら,経皮的胆管ドレナージも他の手術による胆汁外瘻術と同様に,胆汁の体外排出による水・電解質のアンバランスや消化吸収不良などに問題を残している.通常,体外に排出された胆汁の一部は経口的に,または胃ゾンデにて腸内還元がはかられているが,これらでは,量的にも十分な量を与え得ないことや,患者の苦痛の面からみても満足できるものとは言えない.
 この胆汁の腸内還元の一方法に,経皮的胆管ドレナージの内瘻化がある.この方法は,多数の側孔を有するドレナージチューブを胆管狭窄部を通して下行させ,十二指腸内に挿入し,チューブを介して狭窄上部の胆汁を十二指腸内に誘導排泄させるものである.この方法は,患者に開腹手術という負担を与えないで,いわば胆管十二指腸吻合を行なつたのと同様の効果を期待しうるものである.

頸部廓清術における胸管損傷の経験と考察

著者: 渡辺豊昭 ,   桜井道郎 ,   川村信之 ,   宮川信 ,   牧内正夫 ,   降旗力男

ページ範囲:P.243 - P.248

はじめに
 頭頸部の悪性腫瘍に対する頸部リンパ節廓清,あるいは乳癌や上肢の悪性腫瘍等に対する鎖骨上窩のリンパ節廓清が行なわれる場合に,種々の合併症や機能障害の生ずる可能性がある1).そのなかで胸管損傷による乳糜の流出は,不快な合併症の1つである2).その損傷は大出血と異なり,急激に死に至ることはないが,難治性の場合には栄養障害をひきおこし,不幸な転帰をとるという報告3,4)もあり,術後合併症として決して軽視すべきものではないと考える.
 このような観点から,われわれは今日までに経験した頸部リンパ節廓清による胸管損傷について,検討を加えたので報告する.

胃癌再発の分類とその問題点について

著者: 岩永剛

ページ範囲:P.249 - P.252

はじめに
 胃癌再発を研究するにあたって,多くの問題点がある.以前にも検討したことがある1)が,筆者が日常感じ,悩んでいる点について順次述べてみたい.

臨床報告

急性炎症症状を呈した肛門腺より発生した肛門癌の1例

著者: 中山富太 ,   鴛渕孝雄 ,   江里健輔 ,   津嘉山朝達

ページ範囲:P.253 - P.255

はじめに
 肛門癌は従来,すべて扁平上皮癌であるかのように言われてきたが,最近これらの中に肛門腺に由来する腺癌が存在することが判明した16).しかし,本症の報告例は極めて少なく本邦では20例にみたない9)
 われわれは肛門腺に由来すると考えられた腺癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

経肛門的に切除しえた直腸villous adenomaの1例

著者: 山本恒義 ,   村上哲之 ,   菊地惇 ,   小笠原雅通 ,   華表克次 ,   小澤正則 ,   佐々木睦男 ,   伊藤素之 ,   今充

ページ範囲:P.257 - P.261

はじめに
 大腸のvillous adenomaはその高率な悪性変化と粘液の異常大量分泌による体液喪失(特に低カリウム血症)を特徴とし,欧米において多数例の詳細なる検討がなされている.一方わが国では本症は稀な疾患とされ,その報告例もすくない.
 われわれは下痢を主訴とした直腸のvillous adenomaを経験したので若干の文献的考察をおこない,特に治療方針に検討を加え報告する.

腹壁外に直接発育増殖を呈した虫垂癌の1例

著者: 谷田理 ,   阿部重郎 ,   谷田真 ,   西村興亜

ページ範囲:P.263 - P.266

はじめに
 虫垂癌は1882年にBeger1)によつて初めて報告された非常に稀な疾患である.本邦でも1900年の金森2)の報告以来,私どもが集め得た範囲内では,文献的に未だ40数例報告されているにすぎないようである.
 私どもは穿孔性虫垂炎による汎発性腹膜炎に対し,ドレナージ手術のみが行なわれ,後33年目に虫垂原発の癌種で,その発育が腹壁瘻孔を通じて腹壁外におよぶという,きわめて稀有な1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

回盲部にみられた非特異性単純性潰瘍の2例

著者: 大熊隆介 ,   黒木信善 ,   加藤秀典

ページ範囲:P.267 - P.270

はじめに
 回盲部に発生する潰瘍には,原因の明らかなものと,原因不明のものがある.後者の代表的なものにクローン病があるが,他に非特異性潰瘍,単純性潰瘍,孤立性潰瘍などの名称で呼ばれている原因不明の潰瘍が生ずることが知られている.本邦においては未だ報告例は少ないが,私どもの施設においても,最近2例の非特異性単純性潰瘍を経験したので,若干の文献的考察を加え,報告する.

薬剤

体外循環開心術後並びに出血性ショック時の血清酵素値の意義

著者: 小林稔 ,   江口昭治 ,   田中誠 ,   吉野武 ,   鷲尾正彦 ,   浅野献一

ページ範囲:P.273 - P.279

はじめに
 体外循環はいわばショック類似状態,あるいはcont—rolled shock1)ともいえる状態である.細胞のアノキシアが誘発され,lysosome膜の損傷,破壊,その結果蛋白融解酵素であるacid phosphatase, cathepsin,β—glucuronidaseなどの細胞外遊出が起こるとされている2).一方,体外循環開心術における高アミラーゼ血症は1968年HortonやHarjolaによつて報告され,その後もPanebianco5)によつても報告されている.これらの報告によれば,その上昇原因を開心術中のストレス状態による腹部合併症発生の為とし,あくまでも膵臓そのものの傷害による術後膵炎の発生という観点に止まつている.しかし著者等が既に報告6,7)したごとく,アミラーゼ・アイソザイムの検索によれば,そのアミラーゼ上昇由来臓器に関しては,膵臓よりも,むしろ唾液腺由来のアミラーゼ上昇が著しいと言う結果が得られた.一方,この高アミラーゼ血症の程度は全身の生体侵襲の重度を示すものと考えられ,生体侵襲の程度判定として,β-glucuro-nidase (以後β-Gと略記)と共にアミラーゼ測定の有用性が認められた.今回,動物実験並びに臨床例において生体への影響を追求し,また侵襲に対する生体に及ぼされる影響を軽減すると思われるステロイド大量投与〔hydrocortisone (Solu-Cortef) methylprednisolone(Solu-Medrol)〕の実験的並びに臨床的研究を併せ行なつたので若干の考察を加え報告する.

追悼

浜口栄祐先生を偲んで

著者: 木村信良

ページ範囲:P.280 - P.281

 浜口栄祐先生は昭和51年11月13日(土)午後0時24分,腎臓腫瘍で,東京医科歯科大学付属病院で永眠されました.享年67歳,御逝去を心より御哀悼申し上げます.
 先生は明治42年,いまの伊勢市にお生まれになり中学3年の時に東京府立三中に転校され,4修で一高へ,そして東京大学医学部を卒業されたのは昭和9年であります,卒業後は東大第1外科の青山徹蔵先生の教室に入られ,次いで大槻菊男先生の下で,外科学を学ばれました.当時は世界情勢も不穏で,一時はハルビン大学の講師として渡満されたり,また第2次大戦中は応召され津の陸軍病院に勤務され陸軍軍医大尉で終戦となり,再び大学に帰られ,腸管運動の研究をされ学位をとられました.昭和23年には国立東京第一病院(現在の国立医療センター)の外科医長に迎えられ,戦後の混沌とした環境の中で,先生を慕つて集まつた若いひとびとと一緒になつて着々と医局を作られ,この時期にも多くの立派な業績を発表されました.先生は時々この頃を憶い出されては,「あの頃は本当に愉しく,思い出も多いね.物は不自由だつたが.」と口にされておられました.当時40歳の先生が周囲に煩わされることの少なく十分に活動できた時期と思われます.

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「臨床外科」読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.229 - P.229

 「臨床外科」誌をご愛読いただきありがとうございます.
 弊誌も本年で第32巻を数え,創刊以来30年を過ぎた今,ここで更なる編集内容の充実をはかり,読者の皆様のよりよき伴侶となるべくこのアンケートに寄せられた貴重なご意見をもとに努力してゆく所存であります.何卒宜しくご協力のほどお願い申し上げます.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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