文献詳細
臨床研究
縦隔腫瘍の臨床的観察と手術成績および予後の検討—自験45例について
著者: 猪苗代盛貞1 瀬田孝一1 佐藤雅夫1 神俊一1 石田茂登夫1 斎藤盛夫1 江村耀章1 島田克巳1 日下純夫2
所属機関: 1岩手医科大第1外科 2岩手県立宮古病院外科
ページ範囲:P.509 - P.514
文献概要
縦隔腫瘍は近年急速に増加しつつあるといわれる.正岡ら1),寺松ら2)の集計によると,本邦縦隔腫瘍例は1955年以前は173例であつたものが,1956年〜1960年が494例,1961年〜1965年が1,245例,1966年〜1970年9月が2,052例,1970年10月〜1974年6月が1,485例と階段状に増加している.葛西3),正岡1),寺松2)らの報告を集計すると,1974年6月までの本邦縦隔腫瘍例は5,583例である.このような症例数の増加は大学付属病院以外の病院において著しい現象であると報告され1),縦隔外科が広く普及してきたことを示している.
われわれの教室においても1953年から1975年までに45例の縦隔腫瘍を経験した.これは同時期入院患者総数15,574人の0.3%である.しかし症例の増加は1964年の8例をピークに漸減し1972年以降は年間1例を経験するのみである.われわれはこの45例について臨床および病理所見を検討し,患者の予後調査の結果と併せ,若干の知見を得たので文献的考察を加えて報告する.
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