文献詳細
臨床報告
肺癌の腸管転移—下血を来たした多発性小腸転移の1手術治験例
著者: 中川公彦1 福沢正洋1 辻本雅一1 亀頭正樹1 岡田正1 佐谷稔1 正岡昭1 曲直部寿夫1
所属機関: 1大阪大学医学部第1外科
ページ範囲:P.653 - P.656
文献概要
近年本邦においても全悪性腫瘍中に占める肺癌の数は増加して来ており1),その診断,治療,転移再発,予後に関して多くの報告が見られる.最近われわれは小腸に多発性転移を来たした肺癌患者を手術治療する機会をえた.従来より肺癌が胃腸管等の腹腔内臓器へ遠隔転移することは知られていたが,その頻度からして決して好発部位とは言えず,しかもほとんどの報告例が剖検によるものであり,今回の症例のごとく手術的に治療しえたという例はほとんど見られない.本稿では若干の文献的考察を加えて報告する.
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