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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻6号

1977年06月発行

特集 今日の胆道造影

術中胆道造影の実施から読影まで—私はこうしている

著者: 相馬智1

所属機関: 1杏林大学医学部第1外科

ページ範囲:P.719 - P.727

文献概要

はじめに
 術中胆道造影に最初に成功したのは,CordobaのMirizzi (1931)1)である.彼は同年91例の経験をもとに"cholangiography during operation"という論文を発表した.1948年には15年間の経験を基礎として胆道の病態生理について詳細な発表を行なつている.Mirrizziの発表以来世界各国,殊に北欧でひろく行なわれるようになり,次いでフランス,アメリカで盛んに行なわれるようになつた.就中アメリカのHickenら2,3)やWallの報告は最も症例数の多い報告といえる.その他の国でもその必要性を認めかなり広く行なわれるようになり,1958年Steiner4)によれば近代胆道外科は,術中胆道造影なしには考えられないという程になつた.南ア連邦のSchulenburg5)は本法の採用により,それまでの諸家の遺残結石率2〜24%2,6)を1.3%まで低下せしめえたと報告し,本法の全盛時代をむかえたように見えたが,Mi—rizzi以来40年を経た今日でも,その重要性を認めながらも広くroutineに行なわれているとはいい難い.その理由は,1956年Archives of Sur—geryに掲載されたAllenとSachsの2つの論文に代表されるといえる.Sachs7)は,術後の胆道造影の価値については誰もが異論がない.術中胆道造影はそれと同等の価値をもつている.したがつて術中胆道造影の価値はいうまでもなく重要であるとのべた.しかしAllen8)は,術中胆道造影は極めてわずらわしいものであり,胆道結石の診断や治療には,極めて価値の少ないものであるとのべている.この2つの意見は両極端といえるが,Pyrtek9)らは,その中間をとり,術中胆道造影は全例に施行する必要はなく,ある限られた症例に応用すれば極めて有用であるとしている.しかしSchulenburg5)はこれに対して反論し全例に行なうべきであると主張している.要は外科医の熱意の問題であり,これになれれば差程わずらわしくなく,手術時間の延長はないとしている. いずれにせよ,本法が不必要だと主張するグループ9,13)の根拠は,時間のロス,わずらわしさ,false negative, false positiveの得られる危険性があるということであり,必要がある時にのみ行なえばよいという.一方それでは必要のある時とは如何なる状態を指すかという反論は当然のことながらおきてくる.したがつて無差別に例外なく行なうことこそ意味があると反論5)する.また本法は結石の有無についてのみではなく.奇型,総胆管の狭窄,あるいは悪性腫瘍の発見についても有用であり,postcholecystectomy例においては,結石の有無ならずOddiの狭窄や,残存胆嚢管の様子まで知りうるので極めて有用であると主張する10,11)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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