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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻6号

1977年06月発行

外科医の工夫

胆道ファイバースコープを用いた胆石症の診断と治療

著者: 山川達郎1

所属機関: 1帝京大学医学部外科

ページ範囲:P.771 - P.775

文献概要

 胆道内に結石が存在する場合,それが実はX線学的には証明されなかった肝内結石症の結石の一部が胆道内に落下したものであつたり,また肝内結石症と考えられたものが,ただ単に肝内胆管に結石が移動したものであつたりすることは,よく日常遭遇するところであるが,胆道結石と肝内結石症の治療法は,元来根本的に異なるものであるので,手術術式の選択に際しどうしても的確な鑑別診断の必要性にせまられる.すなわち確実な診断は,的確な治療法の選択を可能にし,強いてはその予後を改善することにもなるのであるが,従来の検索方法のみでは,両者の鑑別は必ずしも容易ではないようである。著者は術後胆管内視鏡検査法とそれによる非観血的截石法により,遺残結石・肝内結石の治療に良好な成績を報告1-3)してきたが,この内視鏡的検索をfullに活用し本症に対する治療成績がいくらかでもよくなるように努力し工夫してきた実態とその成績をここに紹介し諸家の御批判を仰ぐものである.
 まず著者の開発した胆道ファイバースコープ3,4)(図1)を紹介しよう.全長63cmのこの胆道ファイバースコープは,先端28cmのみが軟性で,その先端約2cmの部で上下90°の屈曲性を有し,中に2.6mmの截石用カテーテル等を挿入するためのチャンネルが装着されている.術中胆管内視鏡検査を行なうためには,軟性部は10cmもあれば十分であるのであるが,後述する術後胆管内視鏡検査を行なうようになり.これを28cmとした.これは計らずも米国で遺残結石の非観血的摘出法に繁用されているDr.Burhenne5,6)のsteerable catheterの有効長とほぼ同じであるので,日本人はもちろん,欧米人にもT-tube抜去後の瘻孔を介して行なう術後胆管内視鏡検査施行上十分な長さと考えている.これ以上軟性部を長くすることは,内視鏡の生命である追従性,操作性,解像力と低下させてしまうであろうことは言をまたない.本機は術中術後の胆道のみの検索を目的に製作されたものである.鉗子類(図2)ではバスケット鉗子,逆噴射式洗浄用カテーテルやバルーン・カテーテルが繁用されるが,その他数種の砕石用鉗子7)など結石採取に最も適した鉗子類の製作が工夫され行なわれつつある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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