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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻7号

1977年07月発行

文献概要

特集 甲状腺機能亢進症—外科医の役割

甲状腺機能亢進症診断上のアプローチ—最近における進歩

著者: 福地稔1

所属機関: 1兵庫医大RIセンター診療部

ページ範囲:P.821 - P.826

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はじめに
 甲状腺機能亢進症は甲状腺におけるホルモン合成分泌の病的亢進により,末梢血中において活性型ホルモンである遊離型甲状腺ホルモン量が高値持続することにより惹起される病態である.そのほとんどは,いわゆるバセドウ病であるが中毒性結節性甲状腺腫であるプランマー病,TSH過剰分泌を伴う下垂体腫瘍,それに甲状腺ホルモン結合蛋白異常などによつても同様の病態は起こりうる.
 甲状腺機能亢進症の診断には他の疾患におけると同様,その臨床症状の適確な把握が重要となることは論をまたない.特に典型的例では臨床症状のみで診断が可能な症例も少なくない.しかし,核医学診療の最近の発展はめざましいものがあり,これに伴い放射性同位元素を用いた甲状腺検査法も画期的な進歩をとげた.これら新しい臨床検査法の導入により甲状腺機能亢進症の病態把握もきわめて精細となり,その診断精度も一段と高いものとなつている.従来ともすると甲状腺機能の高低のみの指標とされてきた甲状腺機能検査法は,より深くより立体的に甲状腺の病態生理を解明把握できるまでに充実し,これら検査法の活用は,かくされた病態の発見や治療法の選択とその効果の判定,予後の推測など多岐にわたる恩恵をもたらしつつある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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