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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻7号

1977年07月発行

文献概要

特集 甲状腺機能亢進症—外科医の役割

甲状腺機能亢進症治療法の選択と基準—最近の手術療法

著者: 原田種一1 松土昭彦1

所属機関: 1川崎医科大学内分泌外科

ページ範囲:P.843 - P.848

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はじめに
 1920年代のはじめに,Kocherにより甲状腺の手術手技が進歩し,1923年,Plummer1)が,甲状腺機能亢進症の手術に,Lugol液の術前投与を推奨して,その安全性が増加して以来,手術がほぼ唯一の本症に対する正統的な治療法であつた.しかし,1943年Astwood2)が,抗甲状腺剤を開発し,また前後して放射性ヨードが使用されるようになると,甲状腺機能亢進症に対する外科医の役割は急激に減少した.
 しかしながら,これらの新しい治療法も,長らく臨床的に使用してみると,種々の欠陥が次第に明らかとなつてきた.すなわち,抗甲状腺剤による治療が,極めて長期間を必要とし,その治療期間中に,はたして抗甲状腺剤で治癒せしめられるか否かの判定が困難であり,服薬中止後再発することが多く,真の治癒率が低いことや,あるいは放射性ヨードによる治療の,逐年増加する予想外に多い甲状腺機能低下症の発現の事実などから,再び手術の短期間の治療日数と,その成績の優秀さ,確実さが見直される時期となつた.われわれも現在,その線に沿つて,外科的治療の枠を拡げつつあるが,筆頭著者の元勤務していた伊藤病院の本症に対する選択基準と比較しながら,われわれの手術の適応に対する考えを述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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