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文献詳細

雑誌文献

臨床外科32巻8号

1977年08月発行

文献概要

特集 上部消化管大量出血

上部消化管大量出血の手術をめぐる問題点—食道静脈瘤

著者: 磯松俊夫1

所属機関: 1北海道大学医学部第2外科

ページ範囲:P.981 - P.986

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はじめに
 上部消化管出血のうち食道静脈瘤出血は,その70%以上がショックを伴い最も重篤なものということができる.食道静脈瘤破裂は出血が大量におよぶというだけでなく,その基礎にある肝臓の状態が予後に大きく影響を与えてくるもので,この両者はたがいに関連しあう.つまり大量出血による循環血液量の減少は肝硬変などの基礎疾患があれば,肝amoxiaから容易に肝不全が出現し,また肝不全が増強すれば大量出血が起こり易くなる.したがつて,われわれが日常かかる患者に遭遇したとき,いかにして予想される肝不全を予防しながら出血に対処していくかということにかかる訳である.
 同じ食道静脈瘤の出血であつても,その予後は門脈圧亢進を起こした原因によつて夫々異なるものである.いまわれわれが最近経験した食道静脈瘤の待期手術100例について,夫々病態別に吐血歴および待期手術を受けるまでの経過月数を分類してみたのが表1で,その内訳は肝外門脈閉塞16例,特発性門脈圧亢進症17例,巨脾性肝硬変症42例,非巨脾性肝硬変症25例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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