文献詳細
臨床報告
Insulinoma 9例の検討
著者: 竹田力三1 岸本宏之1 田中公晴1 井上淳1 川口広樹1 宮野陽介1 古賀成昌1 宗像雅丈2
所属機関: 1鳥取大学医学部第1外科 2土谷病院
ページ範囲:P.1059 - P.1063
文献概要
Insulinomaは膵ラ島β細胞の腫瘍であるが,その臨床症状から精神病あるいは脳血管障害と誤診されて治療を受けていることが多く,長期にわたると低血糖による不可逆的な中枢神経障害をきたすので,早期発見ならびに外科的治療を必要とする疾患の一つである.
1924年Haris1)はhyperinsulinismの概念を提唱,1927年Wilderら2)はhyperinsulinism症例を剖検し,腫瘍組織から大量のインスリン様活性物質を証明,1929年HowIandら3)は腫瘍の外科的摘出による治験例を発表し,Laurentら4)によれば1965年までに約1,300例の報告がなされている.本邦においても,1933年の三宅ら5)の剖検例,1935年の棟方ら6)の臨床治験例をはじめとして,診断技術の向上とともに報告例が増加しており,黒田ら7)(1973)は122例を集計している.
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