文献詳細
臨床研究
ガストリン産生悪性腫瘍によるZollinger-Ellison症候群の胃全摘後の経過について
著者: 遠藤巌1 杉浦芳章1 長嶺信夫1 東哲之1 野原雄介2 赤松隆3 男全正三4 佐島敬清4 三角二郎4
所属機関: 1琉球大学付属病院第2外科 2琉球大学付属病院中検病理 3琉球大学付属病院成人保健学科 4横浜市立市民病院
ページ範囲:P.139 - P.145
文献概要
Zollinger-Ellison症候群(以下ZES)はgastrin産生腫瘍(以下,ガ腫と略す)やその転移巣から分泌されるgastrinにより惹き起こされる3,21)が,ガ腫は悪性であつても悪性度が低く,胃全摘により転移巣が縮小,消失し5,21),予後は良好とされ,胃全摘後の患者が腫瘍死するとは考えられていなかつた.ところが本症の長期観察例が増えるにつれ,胃全摘術後も腫瘍死する患者があることがわかり,併用療法が必要と考えられてきた13).われわれは本症の1例を経験したが4),胃全摘後の約4年間の経過が特異であつたので自験例を中心にしながら,悪性ガ腫の胃全摘術後の経過,経過観察の指標,治療について述べる.
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