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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻10号

1978年10月発行

文献概要

特集 今日の癌免疫療法

免疫学的モニター—最近の話題—MLTRテスト

著者: 西平哲郎1

所属機関: 1東北大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1389 - P.1395

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はじめに
 癌細胞に正常細胞抗原と異なる腫瘍特異抗原が存在すると,たとえ自己の癌細胞であつても,混合培養をすると,リンパ球はそれに対して幼若化反応を惹起する(Mixed lymphocyte-tumor cell culture reaction,MLTR).幼若化反応がおこるとリンパ球内DNA合成が高まる.DNA合成の促進を,アイソトープで標識した核酸前駆物質—3H—サイミジンの摂取の摂進により判定すれば,MLTRの反応の程度を知ることができる.この反応の程度は,担癌生体の自家癌に対する反応性の指標となり得る.
 これまで本邦および欧米1-31)において,その基礎実験より臨床例にいたるまで報告されてはいるが,リンパ球の調整や細胞培養などの手技が複雑なため,実施法も各施設で異なり,確立した検査法とは言えない.著者は,ラット腫瘍を用いた基礎実験7,22)ののち,6年余にわたり,各種人癌におけるMLTRを施行し検討を加えてきた.本稿は,MLTRの施行法について,標準的と思われる方法を詳しくのべ,新しくMLTRを施行せんとする研究者の参考とするのを目的とする,そして将来関連学問の進歩と共に,MLTRがより普遍的な癌特異的免疫反応検査法として改良されれば幸いである.また,最近本反応が免疫学的パラメーターとして32),臨床上,免疫化学療法に用いられる機運にあるのでこの際,当教室で施行されたMLTRと癌の進行度,予後との関連について検討してみる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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