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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科33巻11号

1978年11月発行

雑誌目次

特集 検査と合併症—おこさないためには、おこしてしまったら

内視鏡による偶発症—上部消化管

著者: 城所仂 ,   林田康男 ,   権田厚文 ,   藤井佑二 ,   卜部元道 ,   山下啓爾 ,   渡辺伸介 ,   前川勝治郎 ,   熊谷一秀 ,   滝沢直樹

ページ範囲:P.1521 - P.1526

はじめに
 消化器疾患の診断に際し,内視鏡検査は必要かくべからざる手段であり,現在ではいかなる施設でも胃内視鏡等の検査は行なわれていよう.また最近では,診断のみならず,endoscopic surgeryとして治療にまで応用され,消化器疾患にとつては切り離せない検査法となつている.これら内視鏡の進歩,普及に伴つて対象となる症例の増加,適応の拡大とともに内視鏡検査の合併症(偶発症)の報告も時に見られるようになつた.
 胃ファイバースコープを中心とした上部消化管の内視鏡検査自体は決して危険なものではなく,十分な注意を払い,慎重の上にも慎重をかさねて検査を行なえば,まず偶発症を起こすことは稀と思われるが,きわめてまれにはしかたのない合併症もみられる.

内視鏡による偶発症—下部消化管

著者: 安富正幸 ,   福原毅 ,   北廣美

ページ範囲:P.1527 - P.1532

はじめに
 下部消化管の内視鏡検査は,古くから用いられている硬性直腸鏡と大腸ファイバースコープによる検査とに大別される.今日では直腸から盲腸,さらには終末回腸までの内視鏡検査が広く行なわれるようになり,さらに診断と治療を兼ねた内視鏡的ポリペクトミーさえ行なわれるようになつてきた.このように下部消化管の内視鎧検査の範囲が広くなつた反面,検査に要する時間は長くなり,患者に与える苦痛も大きく,また種々の合併症も報告されるようになつてきた.大腸ファイバースコピーが広く行なわれる今日,これらの検査によつて起こるかもしれない合併症の予防と対策についてもう一度ふり返つてみる必要がある.
 今回は著者らの経験に若干の文献的な考察を加え,下部消化管の内視鏡検査の合併症の予防および処置の実際について述べてみたい.

内視鏡的逆行性胆道・膵管造影—合併症とその対策

著者: 春日井達造

ページ範囲:P.1533 - P.1541

はじめに
 内視鏡的逆行性胆道・膵管造影(ERCP)の合併症としては,本検査当初から急性膵炎の発症が心配されていた.膵管造影後の急性膵炎の併発は手術的膵管造影の合併症として特に注目されている.Pollock1)は膵尾の腺房造影の際血清アミラーゼの上昇をみ,Doubiletら2)はDiodrastとUrokonなどの造影剤が膵液中のtrypsinogenを活性化し,急性膵炎の原因となることを警告し,Elmslieら3)は手術的膵管造影の臨床実験において,pancreatography後数日間active trypsinが分泌され,その後trypsin活性は急速に低下し5日後には消失したのを1患者において観察し,造影剤注入による膵管の過伸展が急性膵炎を惹起すると考え,Doubiletら2)は70%Diodrastによる手術的膵管造影後,膵管上皮の一過性急性炎症が起き、直ちにactive trypsinの膵液中出現を認め,Waldron4)は犬を用いた動物実験で造影剤の注入圧と血清アミラーゼ値の上昇が関連することを証明し,650〜700mmH2Oの圧で血清アミラーゼ値の一過性上昇を認めるが,5日で正常に復帰し,膵に組織学的変化を認めないことを証明した.
 Elmslieら3)も造影剤として50%Hypaqueを用いin vitro,in vivoでtrypsinogenを活性化しないことを証明,慢性再発性膵炎の患者でもtry-psinを遊離させないことをみている.またTra-pnellら5)はsphincterotomyを行なわずに最少量の造影剤注入は安全だとした.

経皮経肝的胆道造影—合併症の予防と対策

著者: 永川宅和 ,   宮崎逸夫

ページ範囲:P.1543 - P.1549

はじめに
 肝,胆道,膵疾患の診断に経皮的胆道造影法(以下PTC)が優れた診断能をもつことは多くのものが認めるところであり,近年,X線テレビの導入,穿刺針の工夫,穿刺法の確立などによつて,その安全性と確実性が著しく向上し,拡張のない胆管の造影にも高率に成功するようになつて,その適応が一段と拡大され,次第に一般的なものとなつてきている1-4)
 しかし,適応の拡大にともなつて,予期せぬ合併症が発生することは皆無とはいえず,本法が手術を前提としない検査法となつている現在,本法施行前後の管理はもちろん,施行中においても一層細心の注意と対策が必要であることは論をまたない1-6)

血管造影の合併症とその対策—動静脈造影

著者: 平松京一 ,   古寺研一

ページ範囲:P.1551 - P.1559

はじめに
 腹部の血管造影が主としてdos Santosによる経腰的大動脈穿刺法1)で施行されていた頃は,血管造影の合併症に術者がかなり気をつかつていたことは確かであるが,Seldingerによつて開発された経皮カテーテル法2)の普及により血管造影に対する術者の緊張感はほとんどなくなり,気軽に行なわれるようになつて来たことは別の意味で危険性をはらんでいるようにも思われる.たしかに経腰的穿刺法に見られた合併症発生率はMcAfeeの調査によれば3%ともいわれ3),Langの調査4)による経皮カテーテル法の合併症発生率1.5%というデーターから見れば,経皮カテーテル法の出現によって合併症発生率が半減していることが容易に理解出来るものの,血管造影の適応がひろがり,それに伴う検査数の急速な増加を考えると,安易な気持でこの検査に当たることの危険性を痛感せざるを得ない.
 本稿では主として現在行なわれている経皮カテーテル法による血管造影の合併症とその対策について述べることにする.

血管造影の合併症とその対策—経皮的脾門脈造影

著者: 杉浦光雄 ,   二川俊二 ,   深沢正樹

ページ範囲:P.1561 - P.1569

はじめに
 経皮的脾門脈造影は通常経脾門脈造影percuta.neous splenic portographyまたはpercutaneoussplenoportographyといわれている.各種の門脈造影があるなかで最も普及した門脈造影法である.経脾門脈造影法は経皮的に脾臓を穿刺し造影剤を脾内に注入して門脈系を造影する方法である.1951年,Abeatici,Campi1,2)らは犬の脾臓に経皮的に70%diodone 60〜90mlを急速注入し,1秒後にX線撮影を行ない脾静脈,門脈が造影されることを発見し,同じく1951年,Léger3)は臨床例で開腹手術時に経脾門脈造影を行ない,更に同年,Boulvin4)らは臨床例で非手術的に経皮的脾穿刺による円脈造影に成功して以来この造影法が急速に発展して来た.開腹を必要とせず,手技が簡単で肝外門脈の閉塞,狭窄や側副血行路を明瞭に造影し,門脈圧亢進症の診断,手術適応の決定,手術方法の選択などに有用であり,門脈圧亢進の原因探究にも役立つて来た.夏に脾静脈,肝外門脈に狭窄,変位を来たす疾患,例えば胆道癌,膵疾患,胃癌およびその転移などの間接的診断にも役立ち,また肝内門脈枝の変化からある程度以上の大きさの肝腫瘍,肝嚢胞の診断にも利用しうるものである.しかし経脾門脈造影法は手技は一応簡単ではあるが,種々の合併症もみられ,一方では1953年Seldinger5)の創案によつて経皮的カテーテル動脈内挿入法が発表されて選択的動脈造影が頻繁に行なわれ,この手技が急速に進歩するにつれて経脾門脈造影によつて得られる情報が同じく開腹手術を行なわずに手技的に容易な選択的動脈造影の静脈相の読影によつてかなりの情報が得られるようになり,経脾門脈造影は正確な門脈系の側副血行路造影を主眼とする検査手技として,その用途は当初よりせばめられて来ているのが現状である.事実超選択的左胃動脈造影によつて左胃静脈の関与する食道静脈瘤は明瞭に造影され,また肝門部での肝外門脈閉塞などの重要な情報が選択的腹腔動脈造影或いは上腸間膜動脈造影によつて得られているのが現状である.
 現在経脾門脈造影が使用されるのは選択的動脈造影を連続撮影によつて行ないえない条件下で,開腹せずに門脈圧亢進症の診断,門脈系側副血行路の情報を得るために限定されているのが実状である.一方,胆道癌や膵臓癌での門脈幹への浸潤程度は,経脾門脈造影で開腹前に情報をうるよりは開腹後の上腸間膜静脈性門脈造影により,正確な門脈系の情報入手と共に腹腔内での癌進展の情況を合わせて手術方針確定により有用であり,膵?胞や慢性膵炎では経脾門脈造影で脾静脈の情報は得られるが,狭窄乃至は閉塞の所見が得られるのみで,実際は膵癌と良性膵疾患との鑑別は脾静脈変化があまりにも敏感に表現されるために,むしろむずかしいのが実際であろう.

中心静脈圧測定とその合併症

著者: 海老根東雄 ,   佐々木徹郎 ,   森木光司 ,   隅田幸男

ページ範囲:P.1571 - P.1576

はじめに
 中心静脈圧(central venous pressure, CVP)の測定は,患者,特に呼吸循環器系重症患者の診断,治療,管理にとつて重要であり,今日広く普及している方法である.
 中心静脈(central vein)とは,上下大静脈が右房に流入する部位をさし,この部の血液流入圧がCVPである.しかし,一般には横隔膜より中枢側の下大静脈,左右腕頭静脈より中枢側で右房までの部分を中心静脈と考えてよく,この範囲にカニューレの先端が達していることが必要である.

カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・40

Crohn病

著者: 長廻紘

ページ範囲:P.1510 - P.1511

 Crohn病の内視鏡所見は,①診断上重要で積極的意義を有するもの(炎症の軽い粘膜に囲まれた縦長潰瘍,cobblestone像),②診断の補助になるもの(skip area,正常直腸),⑬腸炎一般にみられ,診断上さほど重要でないもの(炎症性ポリープ,アフタ様潰瘍を含む中小の潰瘍),④通常みられず,その存在は診断にマイナスとなる所見(萎縮帯を伴つた瘢痕像,帯状潰瘍)に分類することができる.瘻孔や狭窄部は内視鏡ではよくわからない.
 以下内視鏡の対象とたる大腸Crohn病を中心にのべる.

グラフ 外科医のためのX線診断学・10

内視鏡的膵・胆管造影—ERCP

著者: 有山襄 ,   池延東男 ,   島口晴耕

ページ範囲:P.1513 - P.1519

 内視鏡的膵・胆管造影(ERCP)は1955年, Doubiletによつて試みられた術中膵管造影にその端を発している.その後Vater乳頭部の膵胆管開口部から逆行性に膵胆管を造影する試みがいろいろなされたが,十二指腸ファイバースコープを使用してERCPとして確立されたのは,1969年本邦で大井,高木らによつてである.現在では十二指腸ファイバースコープの改良,手技の改善によつて膵胆道疾患の診断能の高い検査法として実用化され,多くの施設で行なわれている.
 ERCPには通常,十二指腸ファイバースコープを用いる(FDS-L,JF-B2,FD-QBなど).胆道造影を主目的とする例ではGIF・P2を使用して十二指腸内で反転させて膵胆管開口部に挿管することもある.術前処置としてERCPを午前中に行なうときは患者は絶飲食とするが,午後に行なうときには朝食に流動食をとらせ,昼食は絶食にする.検査前に咽頭麻酔を行なつて,Coliopan 8mgを筋注し,Diazepam 5mgを静注する.患者を左側臥位にしてスコープを十二指腸内に挿入して乳頭部をみつける.手技に慣れればほとんどの例で,検査開始後3〜5分で乳頭部を発見できる.乳頭開口部に挿管するためには乳頭部を正面視しなければならない.そのためにはスコープ.の上下左右のアングルを調節するか,患者を腹臥位にする.これらの手技によつて乳頭部が正面視できない場合はスコープを胃内まで引き抜いて十二指腸に挿入しなおす.つぎに開口部にカニューレを挿入するが,気泡の混入を防ぐためにあらかじめ造影剤をカニューレの中に満たしておく.開口部に垂直にカニューレが挿入されると膵管が造影される例が多い.胆管を造影するためには開口部の11時方向の上方にカニューレが向くようにスコープを操作して挿入する.膵管を造影する場合には,膵管の2〜3次分枝までの造影に止めて,腺房造影を避けるようにする.胆管造影で閉塞や狭窄があれば,その部を越えて肝側に造影剤を注入しないようにする.これらの処置は急性膵炎や重篤な胆管炎などERCPの合併症を防止するために必要である.膵胆管が造影されたならばX線撮影を行なう.左側臥位,背臥位,斜位,腹臥位,立位など病変の存在が明らかになる体位で撮影を行なう.

Spot

検査合併症と法

著者: 野田寛

ページ範囲:P.1577 - P.1581

はじめに
 臨床検査は現代医療にとつて欠かせないものとなり,それにつれて医療事故訴訟においても検査の不施行ないし不十分さが重要な問題とされてきている1).しかし本稿では,本特集のテーマにそつて,検査に伴う合併症の問題を中心に述べることとする.
 ところで,検査に限らず一般に医療行為と法との関係をみる場合,まずその医療行為自体について,刑法上は身体傷害罪(刑法204条.通説によれば医療行為は一応,本罪の要件たる「傷害」に該当する),民法上は不法行為(民法709条・損害賠償責任の一般的根拠)が問題となることがあり,さらにその医療行為に過失(いわゆる医療過誤)があれば,刑法上は業務上過失致死傷罪(刑法211条),民法上は不法行為または債務不覆行(民法415条・医療契約違反)などが問題となりうることに注目しなければならない.

外科医の工夫

PTC-D法の改良—PTCから直接PTC-Dへ

著者: 平形征 ,   鈴木文直

ページ範囲:P.1586 - P.1590

はじめに
 閉塞性黄疸はその原因となる疾患が根治手術の対象となる時は勿論のこと,たとえ姑息的な処置しか期待できなくとも,機械的黄疸と診断が確定した時点において,ただちに黄疸軽減のための処置を計らねばならないことはいうまでもない.このことから,PTCによる診断に引き続いて,経皮経肝的胆管ドレナージ(PTC-D)による黄疸軽減術を実施することができれば,検査手技を直ちに治療に結びつけ,患者の状態の改善を計りつつ,他の必要な検査を進める上に非常に有益であると考えられる1)
 さて,現在一般的に行なわれているPTC-D法は,肝内胆管を穿刺し,造影剤を注入し,造影針抜去,X線撮影後,改めて比較的太い穿刺針で胆管を再穿刺し,ドレナージチューブを留置するという手順であるが2),X線透視下とはいえ,半ば盲目的に比較的太い穿刺針を用いるのは,確実性に問題のあることは,従来の方法でPTC-Dを施行した経験があれば理解されると思う.目標とする胆管を確実に穿刺するための工夫3)もなされいるようであるが,術者の被曝が避けられない点であまり望ましい方法とはいえない.

Practical Postgraduate Seminar・16

基本的手術器械とその手技

著者: 永津正章

ページ範囲:P.1592 - P.1603

主な内容
手術と手術器械切開切断用器械止血用器械把持用器械「手術の場」を確保するための器械縫合用器械胃腸管吻合用器械縫合糸

講座 皮膚縫合の基本・9

新鮮外傷に役立つ知識—(その1)創傷処置

著者: 田嶋定夫

ページ範囲:P.1604 - P.1608

□損傷の評価
 適切な解剖学的修復を行なうためには損傷の正しい評価が不可欠である.評価が不十分であれば正しい修復は行なえないし,後日後遺するであろう症状の原因と対策に関しても正しい情報が得られない.数針で事足りる損傷はさておき,比較的大きな損傷では評価に手順もある.顔面では顔面神経損傷の有無(側頭枝は眉毛を挙上する,頬骨枝は強く閉瞼させる,頬筋枝・下顎縁枝はそれぞれ「ウー」,「イー」と発音させて上・下口唇筋肉の収縮をみる(図1),併存しうる顔面骨骨折に伴う三叉神経の知覚障害の有無,眼瞼挙筋損傷の有無眼損傷を主体とする合併損傷の有無を大略判定する.

臨床研究

胆管走行異常と臨床的意義

著者: 成末允勇 ,   石川純 ,   戸谷拓二 ,   岡島邦雄

ページ範囲:P.1609 - P.1614

はじめに
 古来,胆管走行異常については,種々の分類がなされており1-8),その認知は,肝,胆道手術施行に欠くことのできないものである.
 第1回日本胆道外科研究会でも多くの施設から胆摘時胆管損傷が報告され,その一因として胆管,胆嚢管の走行異常が指摘されていた.

腹壁創哆開症例の検討

著者: 松本俊彦 ,   扇谷一郎 ,   小沢国雄 ,   杉谷通治 ,   渡部脩 ,   城所仂

ページ範囲:P.1615 - P.1620

はじめに
 術後腹壁創多開は外科医にとつて最も厭な術後合併症のうちのひとつであるが,術後管理の進歩した現在でもなお重篤な合併症としての地位を譲つていない.その発生頻度は,0.5〜3%11,13,15,18)であり,死亡率は11〜45%に達している1,11,15).教室では2,613例の腹部大手術中18例,0.69%に腹壁創多開を合併し,うち9例が死亡した.胆道,膵疾患に高率に発生し,黄疸例が多いのが特徴的であつた.

臨床報告

甲状腺乳頭腺癌の扁平上皮癌への化生の1例

著者: 高橋達雄 ,   原田種一 ,   松土昭彦 ,   妹尾亘明 ,   山下貢司

ページ範囲:P.1621 - P.1624

はじめに
 経過の良い甲状腺の乳頭腺癌が,カタストロフィーに至るには,未分化癌,あるいは扁平上皮癌に移行した結果であることが多いという説については,Goldman1),Halpart2),Cocke3),Ross4)ら,多くの報告があり,われわれも剖検例を検討して報告した.また,乳頭腺癌の手術症例についても検討した結果,扁平上皮化生がかなりの頻度で認められ,その大部分が腫瘍性の増殖像を示していたことを報告した5).これらの事実から,われわれは甲状腺原発の扁平上皮癌と報告されている症例には,このような移行の結果であるものがかなり条く含まれていると考えている.最近,われわれは初回手術時に乳頭腺癌と診断され,次回気管切開時に採取した組織標本では,乳頭腺癌と扁平上皮癌の併存が見られ,剖検時では原発巣の大部分が扁平上皮癌の像を呈した1例を経験したので報告する.

原発性硬化性胆管炎の1例

著者: 山際裕史 ,   岡林義弘 ,   多田弘一 ,   中村卓 ,   竹内藤吉 ,   世古口務

ページ範囲:P.1625 - P.1628

はじめに
 原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholan—gitis)については,その原因も不明で,有効な治療法もないままに,比較的安易につかわれている診断名であるが,多くは癌によるもので,狭義の原因不明のものを目にする機会は少ない.
 本稿では,84歳の男子で,剖検によつて原発性硬化性胆管炎と診断された症例を,若干の考察を加えて報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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