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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻11号

1978年11月発行

文献概要

特集 検査と合併症—おこさないためには、おこしてしまったら

内視鏡的逆行性胆道・膵管造影—合併症とその対策

著者: 春日井達造1

所属機関: 1愛知県がんセンター内科

ページ範囲:P.1533 - P.1541

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はじめに
 内視鏡的逆行性胆道・膵管造影(ERCP)の合併症としては,本検査当初から急性膵炎の発症が心配されていた.膵管造影後の急性膵炎の併発は手術的膵管造影の合併症として特に注目されている.Pollock1)は膵尾の腺房造影の際血清アミラーゼの上昇をみ,Doubiletら2)はDiodrastとUrokonなどの造影剤が膵液中のtrypsinogenを活性化し,急性膵炎の原因となることを警告し,Elmslieら3)は手術的膵管造影の臨床実験において,pancreatography後数日間active trypsinが分泌され,その後trypsin活性は急速に低下し5日後には消失したのを1患者において観察し,造影剤注入による膵管の過伸展が急性膵炎を惹起すると考え,Doubiletら2)は70%Diodrastによる手術的膵管造影後,膵管上皮の一過性急性炎症が起き、直ちにactive trypsinの膵液中出現を認め,Waldron4)は犬を用いた動物実験で造影剤の注入圧と血清アミラーゼ値の上昇が関連することを証明し,650〜700mmH2Oの圧で血清アミラーゼ値の一過性上昇を認めるが,5日で正常に復帰し,膵に組織学的変化を認めないことを証明した.
 Elmslieら3)も造影剤として50%Hypaqueを用いin vitro,in vivoでtrypsinogenを活性化しないことを証明,慢性再発性膵炎の患者でもtry-psinを遊離させないことをみている.またTra-pnellら5)はsphincterotomyを行なわずに最少量の造影剤注入は安全だとした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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