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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻12号

1978年12月発行

文献概要

特集 非定形的乳切の術式と適応

非定型的乳切の術式—私はこうしている—小胸筋切除大胸筋保存

著者: 久野敬二郎1 深見敦夫1

所属機関: 1癌研究会付属病院外科

ページ範囲:P.1653 - P.1658

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はじめに:非定型乳房切断術の歴史
 非定型乳房切断術は新しい手術ではない.1875年にR.von Volkmannは乳癌は胸筋膜に癌が浸潤していても胸筋には癌がないので,胸筋を残し筋膜を切除する手術を行なつた.1880年にはS.W. GrossはTumors of the mammary gl—andの本にこの術式を書いた.1894年にHalstedがradical mastectomyを行ない,これが乳癌の最もよい手術として外科医は今日まで一般に定型乳房切断術を行なうようになつた.しかしPateyand Dyson (1948)11)は,真皮はリンパ流が豊富で従つて癌の進展と関係深く,深筋膜はリンパ流に乏しく癌の進展には重要でないというGray3)の研究から,皮膚は広い切除が必要であるが大胸筋の切除は不要であるとして,大胸筋を残す手術を行なつた.これがPateyの手術として行なわれるようになつた.Pateyはstandard mastectomy45例と大胸筋を残すmodified radical mastect-omy 46例を行ない,両者の予後は差がないとしている.
 Auchincloss(1963)1)はconventional radicalmastectomy 204例のうちapical groupに転移があつて再発しないのは4例のみであつたので,胸筋を切除せず単純乳房切断と腋窩廓清を行ないapical groupは廓清しない手術が妥当であるとした.Madden(1965)9)はこの術式を比較的詳しく述べている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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