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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻12号

1978年12月発行

文献概要

特集 非定形的乳切の術式と適応

非定型的乳切の術式—私はこうしている—小胸筋切除大胸筋保存

著者: 児玉宏1

所属機関: 1京都大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1659 - P.1665

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はじめに
 Pateyら1)が,大胸筋を切除せずに乳房切断と腋窩廓清を行なう術式発表をしてから,すでに30年が経過している.この間に大・小胸筋をともに保存する術式(Auchincloss2),Madden3))など,数多くの胸筋保存術式が報告され,これらは従来のHalsted,Meyerの術式からはずれているという意味合いから,非定型的乳房切断術と呼ばれて今日に至つてる.これらの術式は,術後の機能上あるいは美容上の障害が少ないのは勿論,治療成績においても,余程の進行癌でないかぎり,いわゆる定型的乳切(大小胸筋合併切除術式)と較べて何ら遜色のないことが,多く報告されて来たにもかかわらず,現在なおstandardな術式となつておらず,非定型の名に甘んじているのは,何故であろうか,いま一度,乳癌根治手術における胸筋切除の意義について考えてみる必要がある.
 余程の進行乳癌で,腫瘤が大きく,強度な胸筋固定が認められるような症例を除けば,癌浸潤は胸筋筋膜までにとどまるのが普通で,筋組織内にまで浸潤することは比較的少なく5),まして胸筋保存術式の当面の適応と考えられているようなSt—age IやIIの乳癌では,保存された胸筋から再発あるいは新たな遠隔転移の生ずる可能性は極めて低いものと考えられる.Handley4)も胸筋保存術式の術後に胸筋に再発した症例は1例もないと報告している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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