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臨床研究
左胃静脈領域に局所的圧亢進状態を示した食道静脈瘤症例に対する考察
著者: 中山真一1 井口潔1 小林迪夫1 朔元則1 別府和茂1
所属機関: 1九州大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1727 - P.1733
文献購入ページに移動食道静脈瘤の成因は一般に門脈系の流出路障害(OutHow block)により圧の亢進した門脈血が左胃静脈系,短胃静脈系を介して逆流し,Porta-systemic shuntとしての奇静脈,半奇静脈への流路として食道粘膜下に静脈瘤を形成するものと考えられている.我々は門脈圧亢進症の手術に際し,術中に門脈圧,左胃静脈圧,閉塞左胃静脈圧など門脈系各領域の静脈圧を詳細に測定しているが,この結果,従来の食道静脈瘤の成因論だけではどうしても説明できないLesser splanchnic areaの選択的な圧亢進状態を見い出し,その詳細を発表した1).今回は食道静脈瘤高度陽性の慢性肝炎非活動型の症例において,術中の門脈圧はほぼ正常であるのに左胃静脈領域に著明な圧亢進を認め,門脈造影,腹腔動脈造影でもこの選択的な左胃静脈領域の圧亢進を裏づけるような造影像を得た1例を経験したので,その詳細を報告し,あわせて食道静脈瘤の成因に関しても若干の考察を加えてみたい.
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