icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻2号

1978年02月発行

特集 消化性潰瘍と迷切術

選択的近位胃迷切術のコツ

著者: 長尾房大1 青木照明1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2外科

ページ範囲:P.201 - P.204

文献概要

はじめに
 選択的近位胃迷切術Selective Proximal Vagotomy(以下,選近迷切術SPV)は,欧米ではhighly selective vagotomy,parietal cell vagotomy,proximal selective vagotomy,proximalgastric vagotomy…その他種々の名称がつけられている.本邦でも初期には,近位選択的胃迷切,選択的噴門側胃迷切術などとも呼ばれていたが,現在ではほぼ上記の呼称に統一されてきているようである.
 本術式の意図するところは,消化性潰瘍,とくに十二指腸潰瘍に対し,一定の減酸効果を期待しながら,なおかつ,全胃を形態的に保存し,その胃排出能をも温存しようとするもので,幹迷切(TV)選胃迷切(SV)との大きな相違点は,この胃運動能すなわち胃排出能の温存にある.したがつて,理論的にはTV,SVでは必須,不可欠とされたドレナージ術(幽門形成その他)の付加も幽門の狭窄程度によつては必ずしも必要としない.また,理論的,概念的には,迷走神経幽門洞枝の温存によつてその目的は達せられるとしても,実際の手技上,迷走神経幽門洞枝をどこまで温存するか,あるいは肛側へ切り込むか(lower limitsof denervation)によつて当然幽門洞部の運動能にも差がでてくるであろうし,したがつて幽門形成付加の必要性の度合も若干異なつてくる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら