文献詳細
臨床報告
小児外傷性空腸遷延性破裂の1例について
著者: 牟田博夫1 下田穂積1 酒井敦1 太田英樹1 石橋経久1 清水輝久1 浜崎啓祐1 三浦敏夫1 調亟治1 辻泰邦1
所属機関: 1長崎大学医学部第1外科
ページ範囲:P.283 - P.287
文献概要
近年,交通事故の増加に伴い腹部外傷の症例も増加し,損傷臓器も他の外傷に比べ多彩を極めている.小児外科領域においても同様で交通外傷による症例の増加も著明である.小児は成人と異なり,胸廓,横隔膜,腹壁,脊椎,骨盤など腹腔を形成する組織の発達が未熟であり,外力の大小にかかわらず腹腔臓器損傷を伴う可能性が強い.
小児の場台は外傷の状況を問診により聞き出すことが不正確であり,受傷後起こる腹部症状も成人に比較して乏しく,外見上異常を認めないような腹部外傷が腹腔内の臓器損傷を伴つていることが多く,日常の診療において,早期診断,治療が必ずしも可能ではなく,重篤な合併症を惹起することが少なくはない.
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