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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻3号

1978年03月発行

文献概要

臨床研究

遺伝性球状赤血球症に併発せる胆石症に関する考察

著者: 青木豊明1 曹桂植1 山下隆史1 鎌谷正博1 梅山馨1 三島衛2 竹村史2 三島紘一3 中村義尚3

所属機関: 1大阪市立大学医学部第1外科 2大阪市立十三市民病院外科 3大阪市立住吉市民病院外科

ページ範囲:P.433 - P.437

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はじめに
 遺伝性球状赤血球症(hereditary spherocytosis,以下H.S.と略す)は家族性に発生し,とくに性別及び各人種間には差がみられないが,やや北欧系に多いといわれている.本疾患は貧血,黄疸,脾腫を主症状とし,とくに血液所見では球状赤血球の出現,網状赤血球数の増加,赤血球浸透圧抵抗の減弱,赤血球寿命の短縮,クームス試験陰性などが特徴である.本疾患の原因は骨髄の機能障害1),脾の赤血球破壊亢進2),および脾の血管異常3)などの説がなされていたが,1931年Nageri4)が赤血球の球状化が原因であるとし,その契機を先天的,遺伝的な面に求め,Jacob5,6)らの研究により赤血球膜の異常が指摘された.彼らによると赤血球膜のNaの透過性が亢進し,それとともに赤血球内に水分が入り球状化する.この時Naを赤血球外に排泄するためsodium pumpの働きが活発となり,エネルギー源としてATPが消費される.ATPの産生を高めるため膜に存在する燐脂質が消費され,膜形成物質の喪失をきたして膜面積が減少しmicrospherocyteといわれ,現在ではJacob5)らの説が一般に受けいれられている.これらの異常赤血球は脾で捕足,破壊されるために本症は摘脾によって100%臨床症状が改善される疾患である.本疾患では貧血とともに間接ビリルビンの上昇による黄疸がほぼ90%に認められ,長期にわたる過ビリルビン血症の持続は高頻度に胆石を合併しやすく,胆石の発見から逆に本疾患がみつかることも経験されているところである.今回われわれは教室並びに関連病院で経験したH.S.症例17例のうち胆石を合併した7例について検討を加えるとともに若干の文献的考察を加えて報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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