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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻4号

1978年04月発行

文献概要

臨床研究

術後乏尿患者におけるDopamineの利尿効果—その利尿機序に関して

著者: 須磨久善1 山口佳晴2

所属機関: 1虎の門病院外科 2虎の門病院麻酔科

ページ範囲:P.557 - P.563

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はじめに
 DopamineはEpinephrine,Norepinephrineと共に自然に体内に存在するcatecholamineの一種であるが,Dopamineは他のamine類とは質的に異なる各種薬理学的作用を有し,その特異な効果を利用してショックの治療に用いられるようになつてきた.すなわち,心臓に対しては直接β受容体を刺激することにより,また間接的にNorepinephrineを放出させることにより,心拍量,心収縮力を増加させ1)2),さらに,これに伴つて冠血流量を増加させることが知られている3).また,末梢血管系に対しては大腿動脈,頸動脈など一部の血管をα作用により収縮させ,腎及び腸間膜血管床に対しては,Goldbergらのいうspecific dopamine receptorを介して著明な血管拡張をもたらす4,5).以上のごとく,Dopamineの各臓器に対する影響は一様ではなく,しかもDopamineの投与量によつてもその効果は異なる6).即ち,多量投与により昇圧効果を得ることができるが,α作用が前景に立つため腎血管拡張作用は減弱し利尿効果は減少する4).一方,少量投与した場合には血圧,脈拍数に影響を及ぼすことなく著明な利尿効果を得られることが報告されている7,8).今回われわれは,少量投与による利尿効果を期待して,乏尿患者に対する利尿剤としてのDopamineの作用に関して検討を試みたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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