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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻4号

1978年04月発行

文献概要

臨床研究

閉塞性血栓血管炎(Buerger病)に対する血行再建成績と合併症の検討

著者: 田辺達三1 川上敏晃1 太田里美1 横田旻1 安田慶秀1 前田喜晴1 本間浩樹1 杉江三郎1

所属機関: 1北海道大学医学部第2外科

ページ範囲:P.565 - P.571

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はじめに
 慢性動脈閉塞において最も多くみられる疾患は血栓閉塞性血管炎(TAO)と動脈硬化性閉塞(ASO)である.その外科治療法としては血栓内膜摘除術やバイパス移植術などの直接的血行再建術が望ましく,膝窩動脈より高位の中枢性病変に対しては広く応用され,その成績も良好で安定してきている.ところがTAOでは低位の末梢動脈に広範囲のびまん性閉塞を示すものが多く,直接的血行再建術を施行しがたく,その成績も良好ではないとされている1).厚生省ビユルガー病研究班報告でもTAOに対する血行再建施行率は18%にとどまつており,バイパス移植術では退院時70%,遠隔時40%,また血栓内膜摘除術ではそれぞれ50%,10%の開存成績である2).したがつて本症に対する血行再建術の応用に疑問をもつものもあり,今後とも慎重な検討を要する課題といわれている3)
 われわれは一般に交感神経節切除術では阻血病変に対して確実性と永続性の点から満足すべき成績がえられないため,本症に対してできる限り病態を的確に把握できるよう血管造影検査を施行し,末梢血行が多少でも維持されている症例に対しては積極的に血行再建術を応用する方針をとつてきた4,5).ここではTAOおよびASOに対する血行再建例を比較しつつ,TAOに対する血行再建の有効性と合併症について検討してみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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