文献詳細
臨床研究
膵石症の外科的治療
著者: 小西孝司1 泉良平1 小山文誉1 村俊成1 船木宏美1 吉田通章1 古戸俊郎1 倉知圓1 永川宅和1 西田良夫1 木南義男1 宮崎逸夫1
所属機関: 1金沢大学医学部第2外科
ページ範囲:P.583 - P.590
文献概要
膵石症は慢性膵炎の末期像と見做されているが,慢性膵炎から膵石症への発症機転や膵石形成機序については,いまだ十分に解明されていないのが現況である.著者らは実験的に膵管狭窄を目的に不完全膵管結紮犬を作製し長期観察の結果,ヒト膵石と同一成分を有する膵管内結石の作製に成功し,その病態の解析を試み報告してきた1-3).
ところで,膵の石灰化には膵管内に石灰沈着を見るtrue stoneと膵の実質壊死巣に石灰沈着をきたすfalsestoneとがあるが4),その石灰形成機序は異質なものであることより外科的治療に際しては両者の鑑別が必要となる.この点から内視鏡的膵管造影は,腹部巣純X線像からのみでは困難であつた両者の識別を容易とし,われわれ外科側にとつては手術術式の選択に大いに役立つところである.
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