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特集 乳幼児急性腹症—診断のポイントとfirst aid
緊急手術の適応—胆道,膵疾患
著者: 矢野博道1 松本英則1 吉成元希1
所属機関: 1久留米大学医学部小児外科
ページ範囲:P.693 - P.703
文献購入ページに移動乳幼児期に急性腹症として緊急手術を必要とする疾患は表1に示すように決して稀ではなく,殊に急性虫垂炎,腸重積症,イレウスなどは常に念頭に置くべき疾患であり(頻度が高い),また診断もさほど困難ではない.一方,乳幼児期の急性腹症としての胆道・膵疾患は比較的稀で,かかる症例に遭遇した際にこれらの疾患のあることを失念し,診断が遅延して治療に困惑することが少なくないと思われる.すなわち,乳幼児期の胆道・膵疾患に対しては現在、症例に対する不慣れ(認識の不足),諸検査の不備・非容易性,更に患児の表現の稚拙などによつて,必ずしもその診断は容易ではない(表2).
本文では小児の胆道・膵疾患の中でも比較的頻度の高い急性胆嚢炎,胆石症,特発性胆道穿孔,先天性胆道拡張症,急性膵炎などについて緊急手術の適応を中心に述べ,更に,自験例を分析して盲点とコツについても触れて,大方のご参考に供したい.
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