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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻6号

1978年06月発行

特集 T-tubeと胆道鏡

T-tubeによる合併症

著者: 佐藤寿雄1 高橋渉1 植松郁之進1 木村晴茂1

所属機関: 1東北大学医学部第1外科

ページ範囲:P.849 - P.856

文献概要

はじめに
 T-tubeの功罪については,今日でもなお,必ずしも一定の見解に達したとはいえない.T-tubeはさほど有用なものではなく魔除けにすぎないとする極端な見解1)は別として,胆管の一次縫合を支持する主な理由はT-tubeによる合併症が決して少なくないためとされている1-4).T-tubeによる合併症の経験の差によつてT-tubeの印象は全く異なつてくるのであろう.
 著者らは胆管一次縫合を全く否定するわけではないが,胆管切開例には以下に述べるような理由から原則としてT-tubeが設置している.すなわち,胆管切開を必要とする症例では胆汁の汚染がみられ,胆管内圧が上昇しているものが多い.このような症例にはT-tubeを設置して術後早期に汚染胆汁を排除し,胆管内圧上昇による肝の負担を軽減させることは極めて意義のあることと考える.さらに,乳頭ブジールングや截石操作後の胆道内圧が異常高値を示すことは,術中胆道精査時によく経験する.また,福島ら5)の犬による動物実験でも,ファーター乳頭部にネラトンを留置するとその後1週間にわたつて胆道内圧は高値を示すことが知られている.したがつて胆道精査は胆道系の局所的な損傷や一過性の浮腫のため術後胆汁うつ滞を惹起する危険が憂慮される.このような観点から胆道精査を伴う胆管切開例にはT-tubeを留置すべきものと考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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