文献詳細
臨床研究
膵体尾部癌患者に対する注腸造影検査の意義について
著者: 別府真琴1 藤本憲一1 疋田邦彦1 栗田清1 平井健清1 村井紳浩1 谷口積三1 吉本信次郎2 土居幸子2
所属機関: 1県立西宮病院外科 2県立西宮病院放射線科
ページ範囲:P.917 - P.921
文献概要
近年血管造影,逆行性膵管造影等の普及により,膵癌診断技術の向上がみられるが,膵のなかでも特に体尾部は解剖的位置の特殊性のため,これらの部の癌においては症状発現が遅れ,比較的早期に診断される場合が少ないようである.膵体尾部癌は周辺臓器に浸潤転移を起こし,それによつてはじめて症状が出現する場合が多いようである.膵体尾部癌による胃および十二指腸の二次的変化は,X線的に割合知られているが1,2),大腸に及ぼす二次的変化については,Wigh3),Khilnani4),Zbor—alske5v,Meyers6)等により検討されているが,本邦においては未だ報告例は少ない.われわれは最近3年間に膵体尾部癌10例を経験し,そのうち注腸造影を施行しえた7例全例に異常所見をえたので,X線所見を提示し,文献的に考察を行ない,膵体尾部癌における注腸検査の意義につき述べる.
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