文献詳細
臨床研究
血管造影より見た脾腫を伴う疾患—いわゆるBanti症候群と多発性脾動脈瘤について
著者: 吉田静雄1 小澤正澄1 小林博徳1 大田治幸1 伊藤篤1 前川利幸2
所属機関: 1大阪労災病院外科 2大阪労災病院放射線科
ページ範囲:P.1033 - P.1040
文献概要
従来,脾腫(Splenomegaly)を伴う疾患の多くは門脈圧亢進症を伴っており,肝硬変によるうつ血性の脾腫とも関連して,いわゆるBanti症候群は門脈系を中心として論じられる傾向にあつた.しかしSeldinger法による動脈系の造影が普及するにつれて,門脈系のみならず動脈系の変化も著しいことが次第に見出されるようになつた6,12,17,18,22,25).
著者らは過去数年来脾腫を伴う,または門脈圧亢進症を伴う疾患患者の血管造影を分析し,同時にその病理組織所見とも比較検討してきた.対象とした症例は41例で,全例が脾腫を伴う疾患患者である(表1).方法はSeldinger法により選択的腹部血管造影を施行し,手術または剖検にて組織学的検索を行なつた.
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