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文献詳細

雑誌文献

臨床外科33巻8号

1978年08月発行

文献概要

カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・37

Zenker憩室

著者: 小野沢君夫1 鍋谷欣市1 新井裕二1

所属機関: 1杏林大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1070 - P.1071

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症例 52歳,女性
 生来健康であつたが,10ヵ月前より頸部の不快感と食後のつかえ感が現われ,1ヵ月前より食物の口内への逆流・嘔吐を伴うようになり,当科を受診した.食道X線検査で,咽頭食道境界部左側後方に大きな憩室を認めた(図①).食道内視鏡検査では,食道入口部直上左後壁に境界明瞭な深い憩室があり(図2・図③),憩室粘膜には萎縮がみられるが,憩室内および憩室周囲の粘膜には潰瘍びらんを認めなかつた(図④).
 Zenker憩室と診断し,手術を行なつた.左胸鎖乳突筋前縁に沿う約8cmの皮切をおき,頸部筋を分けて入り,中甲状腺静脈を結紮切断し,甲状腺左葉を飜転すると,袋状に突出した憩室が認められた.アリス鉗子で憩室をひつぱり(図⑤),憩室頸部を十分剥離し,輪状咽頭筋を約2cm切開し,憩室を切除した.憩室の切断は,狭窄をきたさないように余裕をもたせて行ない,粘膜および筋層を層別に,縦方向にDexon糸で縫合した. 

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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