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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻1号

1979年01月発行

特集 ショックをめぐる新しい話題

血液連鎖反応系(凝固系,キニン系,補体系)の測定値とその意味するもの

著者: 隅田幸男1

所属機関: 1国立福岡中央病院外科

ページ範囲:P.33 - P.38

文献概要

はじめに
 生体内には重要な連鎖反応系がいくつもあつて,生体の恒常性維持の上で生化学的あるいは免疫学的機作によつて防御的に作動し合つている.ショックにおいてもこれら連鎖反応系は当然作動して,様々な病態を醸しだす.中でも凝固線溶系,キニン系そして補体系の三つは最も活発に作動する反応系であるといえよう.これら三反応系が活性化するのは何もショック時にのみ起こるわけではないが,相互に関連するところが多く,従来のように血管内凝固線溶(DIC)とか,エンドトキシンショック時の補体代行回路の活性化とか,膵炎時のキニン系活性化とかいうように別々に考え,診断と治療の方針をたてるよりも総合的に三反応系を考えてゆくことは必要なことであろう.
 こういつたことに,すでに多くのショック研究者は気付いており,ショック時の測定項目に血小板やフィブリノーゲンのみではなく,FDP,補体(主としてC4とC3),そしてキニンやキニノーゲンが加えられ,普通に測定されるようになつてきている.著者はこの小文を通じてショックの診断と治療においてこの三大反応系のバランスのとれた考察が,治療成績をもう一息向上させるために大切であることを強調したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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