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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻1号

1979年01月発行

文献概要

特集 ショックをめぐる新しい話題

術後敗血症からみた細菌性ショックにおける嫌気性菌の問題

著者: 石引久弥1 相川直樹1 安藤暢敏1 篠沢洋太郎1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.39 - P.46

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はじめに
 外科領域で従来とりあげられてきた嫌気性菌感染症には破傷風,ガス壊疽,放線菌症があるが,最近になつて,病原性が臨床上問題にされていなかつた無芽胞嫌気性菌による感染症が注目されるようになつてきた.その理由の第1は手術適応の拡大に伴い,感染防御力の低下している条件,基礎疾患をもつ患者や,低下させる治療,処置をうけている患者を対象とする機会が増加してきたこと.第2は新しく開発され臨床応用されている合成ペニシリン,セファロスポリン,アミノ配糖体系抗生物質は好気性グラム陰性菌にすぐれた抗菌性を示すが,嫌気性菌に効果を期待しうるものが少ないため,これらの薬剤投与により,菌交代現象として嫌気性菌が浮び上つてきた点も考えられる.第3は臨床細菌学の進歩により,遊離酸素の存在下では増殖できない嫌気性菌の培養に適した簡便で確実な培地,培養法が関係者の努力により普及したためである.
 このような嫌気性菌による感染症でも他の菌種によると同様に重篤な場合には細菌性ショックが発生するので,典型的な術後敗血症例の検討を通じて,嫌気性菌による細菌性ショックの問題点にふれたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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